ウイスキーボンボン発祥の店…神戸の老舗イチオシ“お酒チョコ”とは?
今年もバレンタインデーが迫ってきた。最近は「告白チョコ」や「義理チョコ」のような女性から男性に贈るという風潮が薄れ、自分用の「ご褒美チョコ」や友達同士で交換する「友チョコ」の需要が増加。各メーカーとも女性客のハートを射ようと必死だ。そこでウイスキーボンボン発祥の老舗「ゴンチャロフ製菓」(神戸市)にスポットを当ててみた。
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世の男性がざわつく日が間もなく訪れる。ここ数年は「義理チョコ」すらもらってない気もするが、いくつになっても気になるのがバレンタインデーではなかろうか。かつては女性が男性にチョコレートを渡し、愛を告白する大切な日だった。その後は感謝の気持ちを伝える日になり、やがて「義理チョコ」時代へ。いまや自分用に購入する「ご褒美チョコ」や女性友達同士で交換する「友チョコ」へと変遷していった。
背景にあるのは若者の恋愛離れとか。君たちは何をしているんだ、と言いたくなるが、今回のテーマはそこじゃない。毎年様々なキャラクターと「コラボ」することで好評の「ゴンチャロフ」が今年は一段と注目を集めているというので売り場をのぞいてみた。
なるほど、商品ラインアップを見て納得。とにかく、見た目がかわいくて仕方ない。色使いもいいからSNS映えする。まずは猫の顔や肉球をかたどった「アンジュジュ」シリーズ。Aタイプ(4個324円)からIタイプ(24個2160円)まである。
ゴンチャロフのバレンタインの代名詞ともいうべき「プチデザートアラモード」も相変わらずの人気だ。今年のパッケージのテーマは「森のお茶会」だそうでイラストレーターの布川愛子さんが描いた動物たちがいい味を出している。さらに今年の新作「いちごのホールケーキ」には年甲斐もなくときめいた。こちらも9タイプに分かれ、3個907円から14個5184円(ホールケーキ入り)となっている。
とはいえ、本題はここからだ。和酒、洋酒入りチョコの充実度は目を見張るものがあった。聞けば、ゴンチャロフこそがウイスキーボンボン発祥の店だとか。ロマノフ王朝の宮廷菓子職人だったマカロフ・ゴンチャロフがロシア革命を逃れ、1923年(大正12年)に神戸でボンボン・ショコラを作ったのが始まりだという。
以来96年。その伝統を守りつつ、日々進化してきた。70年代には大流行しており、初めての洋酒体験がウイスキーボンボンだったというオヤジ世代も多いのではないか。
それがいまや日本酒、梅酒、麦焼酎、泡盛をはじめ、ウイスキー、バーボン、ブランデーにテキーラなど何でもそろうが店側は「神戸生まれの純米大吟醸、ノーベル賞の晩餐会でふるまわれた福寿ボンボンをぜひ」とイチオシしてくれた。こちらも9タイプあり、5種類540円から全24種類2376円まで。さらにコニャックの銘酒レミーマルタンだけを使ったセット(1404円)もある。
「ボンボン」とはフランス語で“良い良い”の意。贅沢は言わない。もらえるものなら何でもいい。ただし、酒入りボンボンは食べ過ぎて車に乗ると飲酒運転になるので、くれぐれもご注意を。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)