千葉の女児虐待死に殺人罪適用の可能性も 小川泰平氏「肺から水」に注目
千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅で死亡し、傷害容疑で両親が逮捕されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は13日、デイリースポーツの取材に対し、司法解剖で心愛さんの肺から水が検出されたことを重要視し、「傷害致死ではなく殺人罪が適用される可能性が出てきた」と指摘した。
父親の栗原勇一郎容疑者(41)は1月24日に自宅で心愛さんに冷水のシャワーをかけ、首付近を両手でわしづかみにするなどして首付近に擦過傷を負わせたとして25日に傷害容疑で逮捕された。心愛さんの遺体は24日午後11時20分ごろ、救急隊員らによって浴室で発見され、着衣の状態で全身がぬれた状態だったという。勇一郎容疑者は冷水シャワーをかけた行為について「しつけのつもりだった」と供述している。
また、妻で心音さんの母親・栗原なぎさ容疑者(31)も勇一郎容疑者による暴行を黙認したことから共犯として傷害容疑で逮捕されている。
小川氏は「新たに司法解剖の結果、心音さんの肺から水が出たということです。溺死、つまり溺れた、ご遺体に見られる現象です。冷水シャワーを掛けたということですが、相当の量の水をかなりの時間かけ続けた可能性があり、立件は容易ではないが、殺人事件となる可能性もある」と解説した。
勇一郎容疑者は殺意どころか「けがをさせるつもりはなかった」と“しつけ”であったことを主張しているが、小川氏は「未必の故意」であったことを指摘した。同氏は「犯罪事実の発生を積極的には意図しないが、自分の行為からそのような事実が発生するかもしれないと思いながら、あえて実行する場合の心理状態のことです。容疑者はその状態であったと考えられる」と分析した。
現時点で勇一郎容疑者の逮捕容疑は傷害罪。今後、傷害致死容疑に切り替わる可能性は推測されても殺人罪適用は困難ではないかと思われていただけに、司法解剖で判明した「肺から水」という“重い事実”は殺人罪適用の決め手の一つとなりうるか注目される。