「ひなまつり」の起源は厄落とし?人形に“穢れ”を移して身代わりに…

 女の子の節句として知られる「ひなまつり」。五節句のひとつで「桃の節句」「ひなの節句」とも呼ばれるこの風習は、ひな人形を飾り、白酒、菱餅、ハマグリの吸い物などで祝うことで知られる。今でこそ、人形を飾るスタイルが主流だが、古くは「流し雛」が一般的だったこともあったとか。また諸説ある中、その起源は古代中国にさかのぼるともいわれる。

 桃の花が咲く時分の旧暦3月3日。上巳(じょうし)と呼ばれるこの日は、もともと3月上旬の「巳の日」ことであった。古代中国ではその日、川に入って穢れ(けがれ)を清める「上巳節」という行事が行われており、これが日本に伝わった後、室町時代の貴族の女の子たちの人形遊びである「ひいな遊び」と“合体”。これが「ひなまつり」の原型との説がある。

 桃の木は、中国で悪魔を打ち払う神聖なものと考えられており、ひなまつりに飾るようになったとされる。ちなみに「流し雛」は、子どもの“穢れ”を人形に移し、川や海に流したことが由来だそう。人形を流す風習は『源氏物語』の須磨の巻にも記されており、今でも鳥取県や和歌山県の一部などに、その風習が残っている。

 現在のように数段の雛段を設け、豪華に人形を飾るようになったのは江戸時代以降。向かって左に女雛、右に男雛を飾るのが、京都を中心とする伝統的なスタイル。また、一夜飾りは縁起が悪いとされており、ひなまつりの1週間から10日前あたりから飾るのが一般的だ。

 そんな「ひなまつり」で街おこしとばかりに、全国から観光客を集めている街がある。千葉・勝浦市の「かつうらビッグひな祭り」だ。期間中(今年は2月22日~3月3日の予定)は3万体のひな人形が至る所に飾り付けられ、街全体が「ひな祭り」一色に染まる。中でも見る人を圧倒するのが「遠見岬(とおみさき)神社」のひな飾り。「60段の石段全体に約1800体の雛人形がびっしりと飾られてライトアップされます」(勝浦市役所観光商工課)とのことで、その美しさは見る人を魅了してやまない。

 もちろん家庭に飾るひな人形にも、それぞれの魅力があるだろう。とはいえ、あまり長く飾ると女の子の婚期が遅れるという言い伝えも…。信じるも信じないもアナタ次第ながら、一般的には翌日以降なるべく早く片付ける方が良いとのことだ。(デイリースポーツ特約記者・二階堂ケン)

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