平清盛ゆかりの湯にも衝撃…明治フルーツ生産終了 目を潤ませ「不動の人気商品ですよ」
「フルーツ牛乳」の愛称で親しまれた明治の瓶入り清涼飲料水「明治フルーツ」が、4月1日で販売を終了することが明らかになった。「中期的に見て販売量が減少してきているため」(同社)というが、これに「もう飲めなくなるのか」とショックを受ける人が続出。特に風呂上がりに飲むイメージが強い商品とあって、各地の銭湯では大きな衝撃をもって受け止められている。
「明治フルーツ」は1959年(昭和34年)9月8日に販売が始まったロングセラー商品。リンゴ、バレンシアオレンジ、パイナップル、洋ナシ、バナナ、レモンの果汁が絶妙なバランスでミックスされた飲料で、ビタミンCも豊富に含まれる。クリーミーながら、ほのかに甘酸っぱいその味は、子供からお年寄りまで世代を超えてファンが多い。
「なくなるなんて、まさかと思いましたよ」。平清盛ゆかりの湯として知られる湊山温泉(神戸市兵庫区)店長の阿部大さんは声を震わせる。販売店からそのニュースを告げられたのは3月1日。「風呂上がりに瓶入りのフルーツ牛乳を飲む、その銭湯ならではのスペシャル感が味わえなくなるなんて」
販売量が減っているとはいえ、銭湯での「明治フルーツ」人気は根強い。サウナや銭湯への愛を描いた漫画家まんしゅうきつこさんの「湯遊ワンダーランド」(扶桑社)でも、「やっぱり銭湯って言ったらフルーツ牛乳だよな…」という台詞が登場するほどだ。実際、湊山温泉では、今年1月の販売実績で「明治フルーツ」が牛乳やコーヒー飲料、サイダーなどを抑えて堂々の1位に輝いている。
2月下旬にツイッターで手作りの表彰台まで用意して結果を公表したばかりの阿部さんは「販売終了はもちろん残念だけど、風呂屋としては不思議だという思いも強い。だってほら、不動の人気商品なんですよ…」と目を潤ませる。
銭湯文化の一翼を担ってきた「明治フルーツ」。これを機に、お近くの銭湯でどこか懐かしいあの味わいを楽しんでみては。(神戸新聞・黒川裕生)