「アポ電」強盗事件が多発、犯人は若いグループか…小川泰平氏が防御策も解説

 アポ電(アポイントメント電話)強盗が急増している。2月28日には東京都江東区のマンションで一人暮らしの80歳女性が手足を縛られて死亡している姿が発見され、アポ電による強盗殺人事件だと判明。人命まで奪われる事態になったことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は4日、デイリースポーツの取材に対し、犯人像を「振り込め詐欺に関わっていた若い者のグループ」と推測。対策として、メッセージや録音機能のある装置の設置を呼び掛けた。

 アポ電強盗は、犯人が親族や自治体職員などを装って高齢者が住む家に電話をかけ、現金の保管場所や金額、生活パターン、家族の状況などを聞き出してから、自宅に押し入って金品を強奪する手口が特徴である。

 今年1~2月には東京・渋谷区内で「手術代が必要」などとアポ電を受けた高齢者夫婦が被害に遭った事件が2件続けて起きた。

 1月11日未明には90代の夫と80代の妻が縛られ、現金約2000万円と宝石を奪われ、2月1日朝には80代の夫と70代の妻が結束バンドで縛られ、約400万円を強奪された。2月28日に江東区の自宅で殺害された女性は「『お金ありますか?』と電話がかかってきた」と知人に話しており、防犯カメラにはフードをかぶった3人組が映っていた。

 3件とも犯人は3人組でアポ電をかけてから強盗に入り、高齢者を縛っている手口から、捜査関係者は同一グループの可能性もあるとみて調べている。

 小川氏は逃走中の犯人像について「犯行が荒っぽいことや、アポ電から入っていることから、振り込め詐欺に関わっていた若い者の犯行ではないか。アポ電の内容からして外国人の可能性は低い」と指摘。女性殺害には「渋谷区の犯行も手足を縛る手口は似ているが、渋谷区の2件は殺人に至っていない。江東区の事件は、現場に現金が残されており、被害者がお金の場所を言わなかった可能性が高い。口をふさいでいる間に被害者が高齢ということもあって亡くなってしまった可能性もある」と分析した。

 小川氏は「警察は以前から『犯行予兆電話』という言い方をしている。『オレオレ詐欺』や『振り込め詐欺』はその手口が知られて皆が警戒しているため、『自分で奪う』という形に変化して手口が凶悪化している」と、その背景を指摘した。

 対処法として、着信時に「この通話は迷惑電話防止のために録音されます」といったメッセージが流れる自動通話録音機の設置に効果が期待できる。市販では2万円弱で、東京23区では65歳以上が住む世帯に無料貸し出ししている。

 小川氏は「中には『振り込め詐欺対策のため録音させていただきます』というアナウンスが流れるものもあり、ほとんどの犯人はそれを聞いて電話を切っています」と説明。「実際、被害に遭われた人に話を聞くと、99%の方が振り込め詐欺のことは知っていても『自分は絶対、被害に遭わない』と思っていた。それで取り付けない方も多い。子供さんにはご両親への誕生日や父の日、母の日のプレゼントとして贈っていただければ」と対策の必要性を説いた。

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