1日中モーニングサービス!?名古屋に喫茶店が多いのはなぜ?
名古屋の食文化を語る時に、“名古屋メシ”とともに外せないのが喫茶店のモーニングサービスだ。特に名古屋駅の地下街「エスカ」「メイチカ」などは老舗の喫茶店からおしゃれなカフェまで個性的な店がそろい、群雄割拠の様相。どこもかしこも大盛況だった。なぜ、こうも人気なのか。“喫茶店王国”名古屋の独自文化を実際に体験した。
◇ ◇
名古屋駅周辺は高層ビル群が立ち並び、すっかり様変わりした。訪れる度に驚かされてしまうが、変わらないのは喫茶店。その数とにぎわいにはホッとさせられるものがある。場所によっては2軒並び、なんでそこまでと思えるような密集地帯もあるほどだ。
なぜ、こうも数が多いのか。名古屋の喫茶文化は遠く江戸時代にまでさかのぼるとも言われる。土地が肥沃で漁場にも恵まれていたことから自然とお茶を飲む習慣が根付いたという。戦後は工業が発達し、朝が忙しくなったことから喫茶店の需要が高まった。当時は土地も比較的安く、1960年代から80年代にかけ、出店ラッシュが続いたと言われる。
さて、どこの喫茶店に行こうか。選択肢が多くて迷ってしまうが、安定感では名古屋駅近くのモーニング喫茶「リヨン」だろう。何しろ、毎日8時から18時の営業時間内「1日中モーニングサービス」を提供してくれているというから時間を気にしなくていい。
「1日中ならモーニングって言わないのでは?」というツッコミはこの際なし。土曜日の昼下がり、チラッとのぞくと、程よく席が埋まっていた。終日モーニングの理由を店側に聞くと「元々の始まりは昼が暇だった」とのことだったが、口コミで一気に広がって行ったという。
システムは好きな飲み物(コーヒー410円~レモンスカッシュ500円など)を注文し、次にAからFまで6種類(フルーツサンド、ピーナッツクリームなど)のサービスメニューをチョイスする。
注文したのはホットコーヒーと小倉あんプレスサンドという王道。やや小さめのサイズだが、豆菓子もついて締めて410円というのだから納得できる。周囲を見渡してもやはり、これが1番人気のようだ。もちろん、カレーライス、ハヤシライス、オムライス、みそかつ定食などの食事(700円~)や小倉モーニングセット(650円)のような少し豪華なメニューもそろっている。
朝からガッツリという方にはモーニングバイキング「シャポーブラン サンロード店」がおすすめだ。この系列店の売りはなんと490円でパンが“食べ放題”というところ。朝7時半のオープン少し前に着くと、すでに行列ができていた。店を出るときにはお腹パンパン。11時半までなので、こちらは早めに出掛けた方が良さそうだ。
これ以外にも喫茶「リッチ」「コンパル」など魅力的な店がズラリ。機会があれば、郊外の本店も訪ねてみたい。名古屋、恐るべし。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)