埼玉を日本一の「うどん県」に!香川の人口差につけ込んだ“卑劣”な戦略が話題

ツイッターなどで注目を集めた檄文(いずれも西武鉄道提供)
今月末まで開催中の「西武線沿線うどんラリー2019」のポスター
2枚

Q.うどんといえば

A.香川県

 10人いれば11人がそう答えることでおなじみの日本の“常識”である。しかし2015年4月以降、インターネットの片隅から奇妙な声が聞こえてくるようになった。「さ、埼玉を…日本一の…うどん県に…しようZE…」

 この一見酔狂なようでいて、実は非常に真摯な呼び掛けは、ある有志団体、その名も「埼玉を日本一の『うどん県』にする会」によるもの。一部では知られた話だが、埼玉のうどん生産量は、香川に次いで全国2位。「会の設立当時は、町のうどん屋さんでも知らない人が多かった」と同会。「埼玉には誇るべきうどん文化があるんです」

 さて、時は今月初旬。ツイッターに投稿されたある檄文が大きな話題を呼んだ。一部を引用する。

 【埼玉を日本一の「うどん県」にしよう! 全埼玉県民が7倍近い人口差を生かし、1か月に今よりもプラス2杯のうどんを食べることができたら香川県を抜くことができると、「埼玉を日本一の『うどん県』にする会」会長・永谷晶久氏が提唱している】

 この大胆な知略に、ツイッターは「卑劣すぎて草」「香川と埼玉の戦争不可避」などと大盛り上がり。同会の活動はこれまでも折に触れてメディアに取り上げられてきたが、これを機にまた一気に注目を集めることになった。

 ただ、ネタ的に消費されがちなこのスローガンだが、同会のうどんへの思いは真剣そのものだ。当然のことながら、埼玉のうどんについては造詣も深く、人並み以上の愛着を持つ。

 「埼玉のうどんの魅力は、一説には25に上るとも言われる種類の多さ。武蔵野うどんや煮ぼうとうなどの『ご当地うどん』、地域活性化のために各地元が開発した鳩ケ谷ソース焼きうどんや藤うどんなどの『ニューウェーブうどん』が代表格として挙げられます」(同会)

 埼玉のうどんに誇りを持つ永谷会長らは、県内の頑張っているうどん店をネットなどで紹介、応援するとともに、情報発信にも努める。食べ歩きツアーやうどん打ちイベントなども精力的に実施し、埼玉のうどん文化盛り上げに取り組んできた。

 香川県に対しても、決して敵愾心を抱いているわけではないという。

「我々にとって大きな目標となる県。共に『うどん』で地域を盛り上げている(または、盛り上げたい)県ということで、一方的にですが、仲間、同志だと思っています」と同会。「その上で、私たちは埼玉のうどんの魅力を埼玉の人たちに伝えて、少しでも地元を好きになってほしいと願っています」

 ちなみにツイッターで拡散された檄文は、今月末まで開催中のイベント「西武線沿線うどんラリー2019」のパンフレットに印刷されていたものという。埼玉を中心に走る西武鉄道が2017年から展開している名物企画で、今回は埼玉を自虐的に描いて話題の映画「翔んで埼玉」とタイアップ。沿線で人気の12店のうどんを味わいに、足を運んではいかが。あなたの1杯が、埼玉の「日本一の『うどん県』」奪取につながる1杯になるかもしれない。(神戸新聞・黒川裕生)

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