IT関係者でも「手書きが一番」 手帳を愛する「てちょけん!」オフ会に潜入
新元号が発表され、早くも“令和仕様”が発売されるなど何かと話題となっている今年度の手帳。すでに1冊持っているのに、まだ売り場をウロウロしてしまう。他の人の使い方をのぞいてみたい。気付けば手帳の数が増えていく-。そんな人たちを丸ごと受け止めてくれる“楽園”が、大阪・本町に年4回だけ出現する。その名は「関西手帳研究会」、愛称は「てちょけん!」だ。
2013年に発足した同会は、手帳が趣味の人が集まる「オフ会」をこれまでに22回開いてきた。常連も初心者も手帳を持ち寄り、お気に入りの手帳やその使い方などについて思う存分語り合う。女性の割合が多いが、世代も職業もさまざま。定員40~50人の会場は毎回ほぼ満席だ。
会長は、文具・雑貨の企画や製造販売を手掛け、「手帳事典2019」などの著書もある荒川翔太さん(36)。手帳に興味がある人なら誰でも気軽に参加できるよう、会員制にはしていない。
直近のオフ会に9カ月の娘を連れて参加した“saki”さん(30代女性)は、「もし子供が騒いだとしても、目くじらを立てるような人はいない」とリラックスした様子。会場は和気あいあいとした雰囲気に包まれていた。
「日本手帖の会」の代表者で、本職はIT関連という“おりひか”さん(50代男性)は、「アイデアをパッと記録するには手書きが一番」と、パソコンの横には常に手帳を置いているという。
他の参加者も手帳に関しては基本的にアナログ派だが、それも昨今のデジタル環境と上手に付き合いながらの話。オフ会開催中の写真をリアルタイムで「てちょけん!」のツイッターにアップしながら盛り上げる人の姿もあった。
多くの人がスケジュール管理よりも「記録」に力を入れているようだ。例えば、マンスリー(月間)ページの日付の枠内に、その日の写真を小さくプリントして貼ったり、ウイークリー(週間)ページの時間軸に睡眠時間などをつけて健康管理に役立てたり。型にはまらない自由で楽しい使い方が発表されるたび、会場のあちらこちらで歓声が上がる。
「手帳は1年に1冊だけ」という固定観念もどこへやら、5冊や10冊を並行して使いこなす人もここでは珍しくない。中には、「手帳を充実させるために予定を作る」という求道者も。
もはや手帳は単なる道具にあらず。自分のライフスタイルに合う手帳を選び、丁寧に書き込むことで日常が豊かになる-心のよりどころといえるだろう。手帳をたまにしか開かない人も、この会に来れば“手帳愛”がむくむくとわいてくるかも。(デイリースポーツ特約記者・福岡 桃)