令和発表の日に即完売オオグソクムシ入りビールを飲んでみた!つまみ不要のエビ風味

オオグソクムシビールを手にする岩本伸久社長=東京・代々木公園
ビン(330ml)入りのオオグソクムシビール=東京・代々木公園
オオグソクムシの姿揚げ
3枚

 深海生物「オオグソクムシ」が近年、食用として注目され、静岡県焼津市ではペットとして生きたまま「ふるさと納税」の返礼品になっている。昨年、取材で食べたオオグソクムシが今年はビールになったと聞いた記者は、さっそく実物が飲める現場に駆け付けた。

 エールビールを醸造、販売しているサンクトガーレン有限会社(神奈川県厚木市)が今年4月1日に発売した「オオグソクムシビール(発泡酒)」。オオグソクムシの水揚げ量世界一を誇る焼津市の深海漁船「長兼丸」とのコラボで実現した。

 焼津のオオグソクムシは体長10センチほど。駿河湾の桜エビなどを食べており、エビのような風味がある。今回は約500匹を下処理後、粉末に加工し、麦芽と一緒に煮込んで造られた。同社の岩本伸久社長は「エビの出汁を濃縮したような味わいで、ビールというよりスープのような味わいです」と説明した。

 同社ではこの8年ほど、エイプリルフールに変わり種のエールビールを限定発売。昨年はポップコーンのにおいがする猫の肉球をモチーフにした「肉球ビール」を発売した。話題になった商品では、コーヒーの芽を食べたゾウの排泄物から作られる世界最高級コーヒー“ブラック・アイボリー”を使った黒ビール「うん!この黒」(2013年)がある。

 今年の目玉はオオグソクムシだった。1日午前0時に同社のネットショップで発売開始され、正午頃には3000本が完売。新元号「令和」が発表された日に、そのような動きがあったとは…。その週末、代々木公園で開催された「アウトドアデイジャパン東京」に同社が出店。8種類の1つにオオグソクムシビールがあった。

 現場でゴクリと喉に流し込み、それが「つまみ不要のアルコール飲料」だと確信した。口中いっぱいに広がるエビの風味。エビせんべいや小エビのから揚げをつまみに、ビールを飲んでいる感覚だ。つまみは関西風に言うとアテ。「アテのない旅」をオオグソクムシビールという特別な世界の中で楽しめた。

 岩本社長は「作るにあたって、お店に食べに行きました。硬い殻はかみ切るのも大変で、なかなか飲み込めないんですけど、殻は焼きエビのような香ばしい風味で、中身もカニ味噌のような濃厚なうまみがあった。長兼丸さんがおせんべいに入れている粉末を今回、特別に使わせていただきました」と明かす。

 今後の発売予定はないそうだが、同社ブランドの取扱店では樽生を飲めるという。半ばジョークとして平成最後のエイプリルフール商品になったオオグソクムシビールだが、「令和」になっても「もう一杯」とおかわりしたくなる味だった。(デイリースポーツ・北村泰介)

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