下北沢駅がソ連になった!?完成記念レリーフが“ソ連み”とSNSで話題
“シモキタ”の略称で知られる東京都世田谷区の下北沢。劇場やライブハウスが集まる演劇や音楽の街であり、サブカルチャーの街などとも呼ばれてきたが、最寄りの小田急線下北沢駅の改札内コンコースに今春完成した大型の陶板レリーフ(浮き彫り細工)が「旧ソビエト連邦を連想させる」とSNSで話題になっている。昭和からこの街に親しんだ記者も気になり、令和を迎える前に現地へ赴いて実物を確認した。
レリーフは縦2・6メートル、横8・9メートル。中央で見つめ合う若い男女から感じられる“労働賛歌”的な雰囲気と女性のスカーフ。さらに、その右側に広がる幾何学的かつ革新的で抽象的なデザインが美術史的にいうところのソ連の芸術運動「ロシア構成主義」を思わせる。そうした知識を持つ人が直感的に「なんか、ソ連ぽくね?」とつぶやいているようだ。
ツイッターでは、「ソ連み」という独特の表現がみられた。「み」とは「味」。つまり「ソ連ぽい」という意味なのだろう。
「この壁のレリーフにソ連みを感じてしまった」「女性のスカーフがさらにソ連みを醸し出している」。さらには「ソ連の地下鉄じゃないの?」「下北がソ連になっとる…!笑」「下北まじ??モスクワちゃうの??」「ロシアアヴァンギャルド…」「確かに旧社会主義国風味ある(笑。」といったコメントが投稿されていた。
小田急電鉄広報部によると、作品は神奈川県秦野市にアトリエのあった洋画家の故・宮永岳彦さんの原画を基にしたもの。3月末に除幕式が行われた。「出会いそして旅立ち」と題され、宮永さんがカラーデザインした特急ロマンスカーの車両や沿線の風景などがデザインされている。
SNSで「ソ連」にイメージを重ねる声が多いことについて、同社広報部にたずねた。「いろいろなお声をいただいておりますが、それは皆様の捉え方だと思っています」。あくまで受け手側の印象によるものであるという返答だった。作品は特にソ連を意識したものでもないようだ。担当者は「構想50年、着工30年となる複々線化の完成を記念した作品です」と説明した。
代々木上原~登戸間(11・7キロ)の複々線化。同社広報部は「作品に入っている4本の線がそれを象徴しています。レリーフは待ち合わせ場所として活用いただければ」という。レリーフに「ソ連み」があるかどうかは受け取り方次第だが、かなり目立つことは確か。さっそく、タピオカ入りの飲み物などを手に、作品の前でたたずむ若い女性らの姿がちらほら見られた。(デイリースポーツ・北村泰介)