日焼け防止、トイレ対策…スクール水着から見える女性の意識変遷“大人のスク水”も
女子スクール水着の変遷をたどると、その時代を生きる女性の意識の変化も見えてくる。新元号「令和」となる節目、水泳用品メーカー「フットマーク」(東京都墨田区)が20日に同社マーク館で開催する「スク水博覧会~昭和から平成女子スクール水着の歴史~」展(11~16時、入場無料)を前に現場を訪ね、女子の「スク水(みず)」に込められた思いを探った。
同社では1978年から男女のスクール水着を発売。現在まで作られた300品種のうち、博覧会では7種類がマネキン着用の状態で展示されている。
最初の展示水着は82年発売で胸に名前を書ける「ネーム・ライン」が特徴。昭和はこの1着のみで、残る6着は平成の水着。モデルチェンジが頻繁に行われたことが分かる。
93年は背中に蛍光色のクロスラインがあるが、この時点ではまだ昭和世代が目にした「ワンピース型」。ビートたけしのギャグ「コマネチ!」(こちらは体操選手がモチーフだが…)のように股間の部分が切れ上がった型だが、2000年になると、股下約10センチまで生地で覆ったオールインワン型に変化。フィットネス志向と露出を抑えたデザインだ。
02年には上下に分かれたセパレーツ型が登場。着替えやトイレ使用時の負担を軽減した。04年には紫外線に配慮した「シャインガード」が登場。昭和ではCМコピーになった“クッキー・フェイス”など、日焼けした褐色の肌の女性が魅力とされたが、「日焼けしたくない」という志向に変わったという。
2010年代に入ると「スク水自由化」に。学校指定でなくても、基本的に紺や黒であれば量販店やネット販売で購入したものを着用。同社によると、昭和世代(78~85年生まれ)の70%が学校で購入したが、98年生まれ以降の平成世代は学校での購入は21%。自由化を背景に、12年にはスカート付きタイプがリバイバル。ワンピース型だが、スカートで露出は抑えられた。
同社広報室の吉河祐子さんは「マネキンの肌の色も違います」と指摘。82年は日に焼けているが、そこから徐々に色が薄くなり、12年以降は肌が真っ白に。「今は、いかに日に焼けないかという意識があって、そこも大きな変化だと思います」と吉河さん。また、セパレーツ型の台頭について、吉河さんは「ブルマ廃止とリンクしています。露出を避けたいという本人や親御さんの声が反映されています」と解説した。
日焼け防止、露出セーブ、着替えやすい&トイレ対策、そして赤外線盗撮をさせない「はっ水加工」の生地…。吉河さんは「女子の声が大きく反映されています。それに対して男子の水着はほとんど変化がない。股下が少し伸びたくらいです」と、今回のスク水展が女子に特化されている理由を明かした。
一方、大人の女性のスクール水着も展示。吉河さんは「露出や派手な水着を好まれない女性がターゲット。モノトーンの上品なセパレート型で露出が少なく、体形がカバーできます」と説明した。本来は学校の授業用だった水着が、今では大人の女性を対象にした個性的な“ブランド”として発売されている。隔世の感があった。
(デイリースポーツ・北村泰介)