この緩衝材「食べられま………す!」人気すぎて製造元は10連休も半分稼働で生産
「宅配便でーす」と届いた段ボールを開けてみたら…あれ、スルメの珍味の下に見慣れぬ緩衝材が。って、これポップコーン? そんなひねりの効いた「食べられる緩衝材」がSNS上で話題になっている。なぜまた、ポップコーンを? 製造元に尋ねると、2代目の女性社長の、商品やお客に込めた深い愛が伝わってきた。
製造しているのは、高知県高知市にある創業42年の小さな食品卸会社「あぜち食品」。元々おつまみを仕入れてスーパーなどに販売してきたが、2003年から廃業した地元ポップコーンメーカーの跡を継いで、ポン菓子にも似た「マックのシュガーコーン」の製造販売を開始。ほんのり優しい味で「飽きっぽい」と言われる高知県民をして半世紀以上愛され続ける味を受け継ぐほか、1キロの巨大ポップコーンなどバリエーション豊かな商品を生み出している。
にしても、なぜ緩衝材に…というところだが、2代目の和田しほこ社長(42)によると、「通販で商品を送る際、珍味やお菓子はどうしても送料が高くなってしまう。少しでも『損した』と感じず済むように」と2014年ごろから45グラム入りの袋を同梱したのが始まりとか。当初は「おまけです」と手紙に記していたが、友人らと「これ緩衝材っぽいよねー」と話題になったのを機に、勢いで「緩衝材」と記されたシールを袋に貼り付けたという。
売れ行きの方はしばらく鳴かず飛ばずだったが、2年後の16年12月にツイッターで紹介されたのを機に大ヒット。従業員総出で食品表示などの3種類のシールを貼って送っていたが、「しんどすぎます!!」との悲鳴を受け、専用パッケージの制作を依頼。緩衝材らしく文字は黒一色で、「食べられません」に×をし「食べられます」というこだわりぶりに。2018年10月から同梱し始めたところ、12月には再びツイッター上で紹介され、「これはうれしい」「エコだ」と話題になった。注文だけでなく、マスコミからの取材も相次ぎ、もともとは「他の企業のノベルティにも使ってもらえたら」と思っていたのが「営業に行く余裕もない」繁盛ぶりという。
とはいえ、悲しいかなポップコーンは、「かさは張れども利益率は低い」といい「若い世代のビール離れなどで珍味の売り上げは落ちているので、トントンなんです涙」と和田社長。インスタグラムで紹介したポップコーンのプチギフトも拡散が止まらず、10連休も半分は製造にあてる予定で「ママさん従業員たちにも休みとお給料をちゃんと保証しつつ、お客様に商品をお届けしたい」と話していた。
(まいどなニュース・広畑千春)
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