自殺をほのめかす投稿、目撃したらどうしたらいい? 名古屋の事件踏まえITジャーナリストに聞く
名古屋市内の駐車場で全焼した車の中から発見された焼死体が、ツイッターで“自殺実況”をしていた投稿者なのではないかとネットで拡散されています。この投稿者は4月15日未明に「近日名古屋の駐車場で死体がでたら それ僕なんでお願いします」「自殺ライブってかなりおもしろそう」などと投稿。その後、16日未明には木炭に火がついた写真などをツイートしていました。
19日時点では、駐車場の焼死体の身元は不明で、投稿者とのつながりは明らかになっていません。愛知県警は「身元確認を続けており、事件と事故の両面で捜査しています」としています。しかしタイミングが合致していることもあり、ネット上では「自殺ライブ」を実行して死に至ったのではないかと大きな反響が起きています。自殺をほのめかす投稿や、実際に実況しているような配信を目にしたとき、私たちはどうしたらよいのでしょうか。ITジャーナリストの三上洋氏に聞きました。
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“自殺実況”をしていたアカウントの投稿内容を見た。投稿者が自殺された方だと仮定しての話だが、アカウントには明確な「死ぬ理由」が書かれていなかった。それだけ本当に苦しんでいた可能性が高い。そして、そのことが今回のケースを一層難しくしていると思う。
ツイッターに「死にたい」という投稿は、実はたくさんつぶやかれている。心情を吐露することで、「かまってほしい」とアピールする人は多い。人に言いづらいことを書き込む匿名の「裏アカウント」を使うこともあるだろう。
一方、今回のアカウントは本人がメーンに使っている「本アカウント」のようだ。投稿者本人の顔写真や友だちと写った写真も掲載されている。職業もうかがうことができるし、好きな戦闘ゲーム「コール オブ デューティ」のことや、ゲーム仲間とのやり取りも書かれていた。
薬の画像があるので、病気だった可能性もあるが、先入観としてありがちな「ネットに依存し病んでいて自殺したいと言っている人」とは異なっている。そんな人でさえ、ここまで思いつめていることがあることを、私たちは心に留めておくべきだ。
ツイッターでは、自殺をほのめかすツイートについて報告を受け付けている。ボタンが押されて通報を受けると、懸念のツイートをしていたユーザーに通知が送られる仕組みだ。だが、その内容は「大丈夫ですか」「悩んでいませんか」といった呼びかけと、相談窓口のリストがついてくる程度。根本的な解決にはならないようにも感じている。
本当に自殺をしそうなそぶりが見られたり、緊迫した状況を伝えたりする投稿があれば、すぐ警察に連絡してほしい。投稿者の所在がわからなければ、地元の警察でもかまわない。必要があれば警察で調べて対応してくれるだろう。
ライブでの映像配信では、通報を受けて警察などが対応したケースがある。最近も、鍋をやっている最中に寝てしまい、空焚きになったところを通報されたケースがあった。間違えて通報することで迷惑をかけてしまったり、自分も煩わしいことが増える可能性もあるが、緊急事態であれば勇気を出してほしい。
今回の名古屋のケースのように、私たちが想像をもしていないような人たちが、大きな悩みを抱えているかもしれない。身近な人のそういう思いを感じたのであれば、とにかく話を聞いて、理解をしてあげてほしい。