サプールって、どんな人たち?「平和をまとった紳士たち」の写真展が話題

 写真家のSAP CHANO(サップ・チャノ)さんが撮り下ろしたサプールの写真展「サプール2019展」が大阪のなんばパークスで開催されていて、連日多くの人で賑わっている。この写真展にかける、CHANOさんの思いについて聞いてみた。

【サプールに会いたくてアフリカへ】

 -サプールとの出会いについてお話いただけますか。

 「私は、以前、沖縄のビールメーカー、オリオンビールの広告用の写真を撮影していたのです。海外のビールメーカーの広告をチェックしていたら、ギネスビールがサプールを起用したCMのショートムービーを作っていて、それがBBCで放映されたのです。しかし、放映後に「あれは作り物だ」と言われるようになり、サプールが本当にいるのかどうか、私は、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国まで確かめに行ったのです。実際にサプールに会い、内戦の爪痕を目の当たりにして、2015年から写真を撮り始めました」

【サプールが「平和をまとった紳士たち」と呼ばれる理由】

 -サプールとは、どんな人たちなのでしょうか。

 「サプールは、アフリカのコンゴで90年以上も受け継がれてきた文化です。コンゴの王様はオシャレだったことでも知られていますが、コンゴの人はオシャレ好きのDNAを生まれながらにして持っている。アフリカの人独特の配色センスに加え、思いもよらない色の組み合わせは、芸術的なのです」

(続けて)

「サプールは、月収3万円の国で生活費を切り詰め、ベルサーチやYojiYamamotoなどのブランドのスーツを身にまとい、週末だけ町を闊歩します。職業は、タクシードライバーなどさまざまで、キリスト教徒が多いんです。立ち居振る舞いも美しく、フランス語も流暢に話します。彼らが『平和をまとった紳士たち』と呼ばれるのは、ファッションのエネルギーを通じて『戦争は平和を奪うので、平和を守らないとだめだ』と考えているからです。

(さらに)

「大サップと呼ばれている長老ゼフラン・ムイエンゴは、内戦の時、命からがら1年半もの間、住み慣れた町を離れることを余儀なくされました。逃げる時に、大事にしていた洋服やアクセサリーを深く掘った穴に埋めたのですが、町に戻った時には、すべてがボロボロになっていたそうです。ムイエンゴは『平和でないとサプールはできない、アフリカの発展もない、環境もよくならない。国家は平和を守ることを最優先にしないといけない』と言います。ただ、独裁国家では言論の自由がない。私たちは、各地で写真展を開催することで、サプールの代弁をしているのです」

 -近年の日本人のファッションは、どう思われますか。

 「ファストファッションは、安価で便利ですが、人と同じだと安心するようになってしまった。人間は、それぞれ異なる個性を持っているのに『私の感性はこうだとか、こういうものが好きだ』と主張することが少なくなりました。日本人は、もっとファッションを楽しむといい。オシャレをしたら世界観が変わるのです。悪いこともできないし、人に優しくなれる。オシャレができる社会では、争いごとは起こらない。サプールは『服が汚れるから争わない』と言います」(まいどなニュース特約・渡辺陽)

▼サプール2019展

開催期間:2019/04/19~05/06 各日11:00~19:00

場所:なんばパークス7F パークスホール

入場料:500円(小学生以下は無料※但し保護者同伴の上、ご入場ください)

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