初夏でも犬の熱中症に注意!体温が急激に上昇、脳の温度も上がる

 ワンちゃんは暑さや湿度に弱いのです(マルノブ/Stock.Adobe.com)
 水を飲むようなら飲ませましょう(sae9/Stock.Adobe.com)
 大阪・はる動物病院副院長の藤原千春獣医師
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 花冷えの季節も終わり、暖かくなってきました。人間にとっては過ごしやすい季節ですが、暑さや湿度に弱い犬の熱中症は、初夏でも注意が必要です。犬の熱中症対策について、「はる動物病院」(大阪)の副院長、藤原千春先生に教えていただきました。

■犬の熱中症、どんな病気なの?

--犬は、なぜ熱中症になるでしょうか。

藤原千春先生(以下、藤原)「日差しが強いところや炎天下で散歩したり、窓を閉め切った蒸し暑い部屋や車内にいたりすると、犬が熱中症になる危険が高まります。温度や湿度が高いと、体温が急激に上昇し、脳の温度も上がってしまうのです。体温調節中枢がうまく働かなくなり、体温はぐんぐん上昇してしまいます。

 犬は、パンティング(開口呼吸)といって、口を開けて呼吸して体温を下げようとするのですが、あまりにも温度や湿度が高いと、体温が下がらなくなるのです。

体温(直腸温)は41~42度まで上がり、舌は鮮紅色から紫色になり、さらに進行するとショック死してしまいます」

--熱中症になりやすい犬種はいますか。

藤原「ボストン・テリアやパグ、ブルドック、ペキニーズ、シーズーなどの短頭種、心臓や腎臓に持病がある犬、太っている犬は、特に注意が必要です」

■万が一、熱中症になってしまったら応急処置を!

--犬の熱中症の症状について教えていただけますか。

藤原「大量のよだれを垂らす、ハアハアと苦しそうに呼吸をする、ぐったりして動かないなどの症状があれば、熱中症を疑いましょう。

 こうした症状が現れると、すぐにでも動物病院に連れて行きたくなりますが、動物病院に到着するまでに時間が経ってしまうので、悪化を防ぐために、先に応急処置を行います。その後、速やかに動物病院に連れて行きましょう」

<応急処置の方法>

・すぐに風通しのいい、涼しい場所に移し、扇風機をあてながら、部屋の換気をします。

・水を飲むようであれば、飲ませます。

・口の中のよだれをぬぐう

・冷たい水に全身を浸す。氷水は、急激に冷えるので使わないでください。大型犬は、体全体に水をかけます。さらに、冷たい水で濡らしたタオルをかけて、全身を冷やします。

・意識がない場合は、犬の頭を氷で冷やします。

・体温が39.5℃に下がったら、冷やすのをやめます。

■熱中症を予防しよう

--熱中症になる前に、飼い主が予防することが大事ですね。

藤原「犬の熱中症は、飼い主が気をつけたら予防できることがほとんどです」

<予防法>

・早朝、夜間など気温が低い時間帯に散歩させる

 真夏のアスファルトは60℃近くになります。砂浜や河原の石も、アスファルトと同じく高温になります。犬は人より地面に近いところにいるので、地表からの輻射熱の影響もあり、人間よりずっと高温の場所にいるのです。路面温度が下がってから散歩しましょう。

・車内に置いておかない

 「ちょっと用事」「ちょっと買い物」の間だけ車内に置いておくというのは、とても危険です。25℃の車内温度は、5分後には38℃近くに、1時間後には50℃以上になります。

・清潔な水をいつでも十分飲めるようにしておく

・留守番させる時は、部屋を締め切らず、窓を開けて風通しを良くします。

(まいどなニュース特約・渡辺陽)

◆藤原千春 はる動物病院副院長・獣医師(鍼灸漢方外来担当)。大阪府立大学獣医学科卒。 ペット薬膳国際協会理事/ 日本メディカルアロマテラピー協会メディカルアロマテラピスト/(公社)大阪市獣医師会会員/ 比較統合医学学会会員/ 日本ペット中医学研究会会員/大阪ECO動物海洋専門学校非常勤講師

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