今度は「焼肉」だ! すごいふろくで話題の小学館「幼稚園」が激渋新作投下
令和初日、みなさまいかがお過ごしでしょうか。私は職場で焼肉を楽しんでいます。
……紙のな!!!!!!!
リアルなガチャマシンやラーメン屋の動く立体看板など、最近とにかく「すごい」と話題の雑誌「幼稚園」(小学館)のふろく。平成最後の日(4月30日)に発売された6月号が、またもや「すごい」と注目を集めている。その名も「やきにくリバーシ」。肉はもちろん、七輪やトング、炭まで、焼肉チェーン「牛角」とのコラボによって本物さながらに再現したゲーム(オセロのように肉をひっくり返して遊ぶ)である。
まあ幼児向けやし、目ぇつぶってても作れるやろ。そう高をくくって実際に作り始めたのだが、なかなかどうして、パーツが多くて思った以上に時間がかかる。結局、完成までに要した時間は優に40分超。小学館さん、これ幼稚園児には無理ちゃいますの…。
「こんにちは。ふろく担当の大泉高志42歳です。そういうお叱りの声を受けることは多いですし、実際、幼稚園児1人で作るのは無理ですね」
-突然どうしました。
「編集部としては、親子で協力して作っていただきたいと思っています。その『親子で協力する時間』を提供するという意図もあります」
-インタビューをする流れになったので、ではこのまま。企業とコラボした『幼稚園』のアグレッシブなふろくが話題を集めています。
「売り上げが低迷していまして、何か違うことをやらないと、と考えた末、『企業コラボふろく』にたどり着きました。売り上げは盛り返し、この半年で完売が3回出ました(ガチャマシン、メダルゲームの号)」
-6月号の「やきにくリバーシ」も着眼点が実に渋いです。さらに、リアリティを追求した細かい作りにも舌を巻きました。今回の企画意図を教えてください。
「火が危ないから、と焼肉屋さんに連れて行ってもらえないお子さんの欲望を叶えようと考えました。さらに、焼肉で何かゲーム性をつけるなら、リバーシしかありません(笑)。焼肉ごっことゲームの両立を目指しました」
-牛角とのコラボはどちらからの提案ですか。
「牛角さんへは編集部から打診しました。焼肉といえば牛角さんだろうと。最近ふろくがバズっているおかげで、企業さんから『ウチでふろく考えてよ』と打診をいただくケースもあります。4月号の『びょんびょんらーめん』は幸楽苑さんからお話を頂きました」
-ところで6月号の巻頭特集では、肉の部位の名前やおいしい焼き方など、幼児を焼肉好きに(洗脳)してしまおうという明確な意志が感じられました。ここらへんの狙いというのはやはり…。
「そういう意図はありません(笑)。ですが、親が好きなものはお子さんも興味があるのではないかと。カルビとはどこの部位か?とか、ロースターは煙が少ない仕組みなど、大人にも興味を持ってもらえる記事になっていると思います。ちなみに、この記事の担当も私です」
-改元ムードにやや隠れがちですが、今回のふろくも話題になっています。対象年齢とはやや違う世代が反応している気もしますが、編集部としての手応えや今後のネット戦略についても教えてください。
「企業コラボ第1弾の『回転ずしつかみゲーム×くら寿司』(2018年9月号)を出したとき、動画をSNSでたくさんアップしていただきました。動きが面白いふろくを作れば、拡散してもらえることを学びました。ですので、売り上げには直接つながらなくても、ネットで話題にしていただけるバカバカしさを意識して考えています」
「今後も『そんな企業と組むの!』と驚いていただけるふろくを仕込んでいます。買わなくてもいいので、お楽しみにしていただければ」
-何を言ってんですか!買いますよ!ちなみに次号はセブンティーンアイスの自販機なんですってね!欲しい!!!
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それにしても、現物の写真をプリントした紙の炭火焼肉セットは、見れば見るほど渋い。そして意味がわからない。完成して嬉しい気持ちはもちろんあるが、それ以上に、「なぜ俺はこんなものを…」という戸惑いの方が大きいのである。でもきっと、この「子供騙し」ではない本気の姿勢が幼児にも伝わり、喜ばれるのだろう。令和開始早々、大きな知見を得た。感謝です。
(まいどなニュース・黒川裕生)