これが大学のトイレ? 美麗なトイレが話題の大阪大学トイレ研究会を学園祭で直撃
「大阪大学がついに本気でトイレを改装したので見て!!!」
「他の大学のトイレと比べてもトップクラスのクオリティ。シンプルにすごい。」
4月12日、こんなコメントと共にTwitterに投稿された画像が評判になった。洒落たカフェかホテルかと見紛うばかりの美麗なトイレ画像に、ネットユーザーは大興奮。しかし、投稿主である「大阪大学トイレ研究会」とは一体どういう団体なのか。取材班は5月2、3日に大阪大学で開かれる学園祭「いちょう祭」に同研究会がブースを出すとの情報をキャッチ。ベン・E・キングを聴きながら豊中キャンパスに足を運んだ。
ステージの音楽や屋台の呼び込みで活気づくキャンパスの一角に、ライトアップされた便器がひとつ鎮座している。「インスタ映えしますよ」「触ってもなめても大丈夫ですよ」と道行く人に声を掛ける様子のおかしい男子学生。…間違いない、ここだ。
「はじめまして、ようこそ」。柔和な表情で迎えてくれたのは、経済学部4年の会長、巌西純哉さん。自他共に認めるトイレオタクで、2年の秋ごろ、好きが高じてトイレ研究会のTwitterアカウントを開設してしまった(独りで)。その後、少しずつトイレ仲間が増え、現在は11人(ただし、うち半数が幽霊部員)で大学非公認の団体として活動している。ちなみに、先ほどの便器は巌西さんの私物らしい。…私物?
さて、巌西さんによると、全学教育講義B棟1階女子トイレが、阪大創立90周年と大阪外国語大学創立100周年を記念して改装されることになり、巌西さん率いる研究会も在野のトイレ愛好家としてワークショップに参加。トイレを寄贈するパナソニックが可能な限り意見を採り入れてくれたといい、「美しすぎるトイレ」としてネットなどで大きな反響を巻き起こすことになった。便器はパナソニックの中位モデル「アラウーノSII」で、大学での採用は珍しく、「トイレオタク的には大学でアラウーノを使えるのはかなりテンションがあがる」そうだ。さらには洗面台、パウダーコーナー、着替えルーム、ソファと、トイレオタクのこだわりが随所に反映されている。ただし女子トイレのため、巌西さんを筆頭に研究会のほとんどのメンバーは足を踏み入れることができない。「男子トイレは予算が…」(巌西さん)とのことである。
研究会には、他大学の学生もいる。江崎笙吾さんは立命館大学の3年。トイレの何に惹かれるのか尋ねると、「僕は水の流れ派ですね」と即答。便器の洗浄方式には洗落とし式、サイホン式、サイホンゼット式などのタイプがあり、江崎さんは「ワンピース便器の水の流れ方が好きです。とんでもない量の水を使うんですが、静かで上品なんですよ」と教えてくれた。
「女子トイレの改装で注目されましたが、僕らトイレ界では全然ペーペーなんです」と巌西さんは言う。しかし、その情熱は本物だ。いちょう祭では、日頃の研究活動の成果をまとめた冊子「Let’s BEnjoy」を300円で販売。改装した女子トイレの詳細な解説のほか、阪大のトイレ満足度調査、トイレ業界の最新動向、留学中のメンバーによる海外のトイレ事情ルポ、文学とトイレに関する考察、就職活動とトイレをめぐるエッセイなど、多彩な記事をどどんと掲載している。3日には、字面からして恐ろしい「失禁体験」も実施する予定。
阪大のトイレ、世界のトイレ向上を目指し、さらには便器の開発を夢見る同研究会。最近の悩みは「学生たちがトイレの苦情を僕らに言ってくること」だそうです。
(まいどなニュース・黒川裕生)