ドキッ!丸ごと涅槃?仏像だらけの喫茶店 大阪で仏さまに囲まれてコーヒーを飲む
振り返れば仏像がいる。
目の前にも仏像がいる。
右を見ても左を見ても、やはり仏像がいる。
大阪・福島区の野田新橋筋商店街にある喫茶店「篝(かがり)」は、店の至る所に仏像が祀られていることで有名だ。手のひらサイズから、人の背丈ほどもあるものまで、その数ざっと30体。店主の森澤天一朗さん(75)が、40年ほど前から置き始めたという。
森澤さんが篝をオープンしたのは1970年。以後、順調に店舗を増やし、一時はこの近隣だけでも4店舗を経営していたという。
16歳でこの道に入った森澤さんが仏像を集めるようになったのは、ある高僧と知己を得たのがきっかけだった。最初に入手したのは、如意輪観音像。その後も「いろんなルート」(森澤さん談)を辿り、コレクションを増やしていった。森澤さんは「仏像の出所は全部ちゃんとしとる。ええ加減なものはひとつもないで」と胸を張る。ちなみに自宅にも結構な数の仏像があるらしい。
ユニークな趣向の店は評判になり、これまでもテレビや新聞などでたびたび取り上げられてきた。近年はSNSやブログの情報で店を知り、遠方からやって来る人も少なくないとか。「仏さんに興味を持って来てくれるので、話が弾む。仏教関係の人が来てくれることもある。本当に幸せなこと」と森澤さん。取材中も客足が途切れることはなく、話は何度も中断した。「仏さんは不思議なくらいお客さんを呼んでくれる。ワシみたいに口の悪い人間がやっとる店なのに…ありがたい限りやで」
仏像だけではなく、自家炭火焙煎で丁寧に淹れたコーヒー(350円)も自慢だ。「長いこと店やってきて改めて思うけど、『喫茶』は最高の贅沢。こんな奥深いもんないで」。なんともありがたい異空間で、最高の一杯はいかがでしょう。(まいどなニュース・黒川裕生)
◆「喫茶篝」大阪市福島区吉野2-8-36 午前6時半~午後5時(定休日なし)