「ペット同伴可」のいちご園が話題 一緒にいちご狩りできるワン
「史上最長10連休」と話題になったゴールデンウイークが終わりました。海外旅行者は過去最多だったそうですが、「ペットがいるから」という理由で国内旅行にとどめたり、日帰りイベントにした、という人も多いのではないでしょうか。もしかすると、この季節ならではの楽しみの一つ“いちご狩り”に行った方もいるかもしれません。そのいちご狩りをペット同伴でできるところがあると聞き、早速、訪ねてみました。
「田渕いちご園」は岡山県南東部に位置する瀬戸内市長船町にあります。本業は米や麦を作る農家さんですが、1998年からいちごの栽培を始めました。当初は地元スーパーで“朝採れいちご”として売るなど販売用でしたが、ぶどう狩りや梨狩りをしている近くの果樹園から「いちご狩りの問い合わせも多い。そちらでやりませんか」と提案され、2005年からお客様を迎えることになりました。
開園当初から「ペット同伴可」としていた理由を尋ねると、「そもそもうちに動物がいたので、断る理由がありませんでした」とのこと。いちご園にはミニブタのすずちゃんと犬のさくらちゃんがいて、真っ赤ないちごがたわわに実ったビニールハウスの中をお散歩していたのです。残念ながら、すずちゃんは2014年に亡くなり、さくらちゃんも15歳と高齢のため、最近は自宅でお留守番が多いそうですが、動物のいる生活が当たり前だった田渕家にとって、ペットと一緒にいちご狩りを楽しみたいというお客様には、「どうぞ、どうぞ」という気持ちだったのでしょう。
開園から15年近くがたち、ペット同伴のお客様は年々増えています。大半は犬ですが、過去には猫、うさぎ、フェレット、豚の訪問もあったとか。今では来園者の半数弱が愛犬家だそうです。大々的な宣伝はしていませんが、ホームページには「ペット入園OK」の文字がありますし、口コミで広がったに違いありません。「愛犬と一緒にいちご狩りができる!」と聞けば、そりゃあ、行ってみたくなりますよね。
犬も一緒にビニールハウスに入ることができて、食べさせるのもOK。“家族全員”が時間無制限でいちご狩りを楽しめるのですから、リピーターが多いのもうなずけます。
しかも、というより、ここが大前提ですが、田渕いちご園のいちごは美味しいのです。要因の一つは地下水をくみ上げて育てていること。オーナーによれば「偶然」の産物で、水道を引くのが難しい立地だったため、地下水を利用せざるを得なかったそうですが、それが美味しい完熟いちごの栽培を可能にしてくれています。
さらに、田渕いちご園には「多品種を食べ比べできる」という魅力もあります。これも意図的ではなく、いろいろなところから苗を分けてもらっているうちに品種が増えたそう。現在、とのよか、さちのか、あきひめ、紅ほっぺ・さがほのか、アスカルビー、おいCベリーという7品種が栽培されています。犬が味の違いを分かるかどうかは定かではありませんが、もちろん人は分かります。
このように、愛犬家にとってはありがたい環境のいちご園。だからこそ、守ってほしいことがあります。1つはリードの着用。「そんなの当たり前でしょう?」と思われるかもしれませんが、ビニールハウスの中で犬を自由にさせてしまう飼い主さんもいるそうです。そして、もう1つはマナーベルトの着用。マーキングをしてしまう可能性がある子には必須です。高設栽培で高い位置に実っているため、いちごに直接かかることはありませんが、とはいえ、食べ物を栽培している場所ですし、犬が苦手なお客様もいます。
数少ない「ペット同伴可」のいちご園が、トラブル多発で「ペット同伴不可」なんてことにならないように、飼い主の方はマナーを守って楽しみましょう。(まいどなニュース特約・岡部充代)