【半井小絵 空を仰いで】拉致被害者の生活描いた舞台に出演 家族との再会願って
「空を仰いで=3=」
木々の若々しい緑がだんだんと濃くなっていくこの季節は、清々しく、自然とやる気が湧いてくるものですね。大型連休はいかがお過ごしでしたか?私は連休気分も味わうことなく、あることに没頭しています。
私は気象予報士ですが舞台女優もしておりまして、来月も舞台公演を控え、稽古の日々です。
今回の舞台は「祖国への挽歌~日系マフィア ジョーの伝説~」。同公演は6月4日から9日まで東京・六本木の俳優座劇場で上演いたします。
お芝居は、2015年から劇団で学び、初舞台は政府拉致問題対策本部主催の舞台劇「めぐみへの誓い-奪還-」大阪公演で、2017年、2018年、2019年と拉致被害者の田口八重子さん役を演じさせていただきました。
そのときの舞台劇では横田めぐみさんや田口八重子さん、拉致被害者の方々の北朝鮮での生活を描くことを通して拉致の経緯を知ることができ、また観劇してくださった方々の多くが「他人事とは思えなくなった。自分も何かしなければいけないと感じた」などの感想を持ってくださいます。
私が演じるシーンは、田口八重子さんが招待所で金賢姫(大韓航空機爆破事件を実行した元工作員)に日本のことを教えているところから始まります。八重子さんは明るく振る舞いながら心の奥底の日本に帰りたい気持ちを抑えていたのですが、ある日、爆発してしまいます。しかし、北朝鮮では先生として生きていくしか術がないため、懸命に正気を取り戻し、強い心で日本に帰る日を待つというストーリーです。ご本人のお気持ちを考えた時、胸が張り裂けそうになります。
今年2月の埼玉県蕨市の舞台には田口八重子さんのお兄さんである飯塚繁雄さんがお越しになりました。舞台の後、私に「妹!」と声をかけてくださったので、駆け寄って飯塚さんの手を握りました。その温もりは忘れません。
拉致被害者と800名を超える警察庁認定の特定失踪者の方々が、ご家族と再会できる日が来ることを心から願っています。
そしてこれからも様々な舞台に挑戦して私なりにお伝えしていくことを続けていきたいと思います。