なつかなかった猫が大病を経て友好的に 老猫との幸せな日々
ポポちゃんは野良猫が産んだ子猫だった。猫好きのおじいさんがポポちゃんを引き取り、他の兄弟も、それぞれ里親さんが決まった。それから15年、ポポちゃんは、もう一度住む家を変わることになった。
■野良猫が産んだ3匹の子猫たち
長崎県の中心部より少し離れたのどかな町にも野良猫がたくさんいる。ある日、安藤さんの実家の庭に野良猫が迷い込んできた。単に通りすがりというだけでなく、子猫を出産して連れてきたのだ。2003年のことだった。
野良猫が連れてきた子猫は3匹。1匹は里親がすぐに見つかってもらわれていった。もう1匹は安藤さんが引き取ってビビちゃんと名付けたが、腫瘍ができて8歳の時に亡くなった。もう1匹は安藤さんのお父さんが猫が好きだったので、実家で育てられた。
■高齢になった親とシニア猫ポポちゃん
安藤さんの実家の猫は、ポポちゃんという名前をもらい、幸せに暮らしていた。ところが、猫好きのおじいさんが亡くなり、おばあさんとポポちゃんだけの生活になった。おばあさんは猫が嫌いなわけではないけれど、おじいさんほど好きというわけではなかった。ご飯やトイレなどの面倒はみるけど、決して抱っこはしなかったという。
2018年、おばあさんが90歳になって、自分のことさえままならないようになってきた。時を同じくして、15歳のポポちゃんも突然動けなくなってしまった。おばあちゃんは、もう面倒をみられないので、ポポちゃんは息子夫婦の家で余生を過ごすことになった。
息子の妻、洋子さんがポポちゃんを迎えに行って動物病院に連れて行くと、脳血栓ができたようで、右手足に麻痺があった。血栓を溶かして血液をサラサラにする薬を飲んだらポポちゃんは元気になった。
■なついていない猫がうちに来る!
ポポちゃんを引き取る時、洋子さんは「困ったな、どうしよう」と思った。
「ポポちゃんは私のことがあまり好きではなかったようで、主人の実家にいくたびにシャーッと威嚇してきたんです。その子がうちに来て、果たしてうまくいくだろうかと心配になりました」
しかし、洋子さんは、きっとなんとかなるとポポちゃんを迎えに行ったのだ。
ところがポポちゃんは、大病を患って安藤家に来ると、洋子さんのことを威嚇しなくなったのだ。家のボスが誰なのか分かっているのだろうか。それとも、一番面倒をみてくれる人だからなのか。理由はポポちゃんだけが知っているのだが、いまでは洋子さんと毎晩一緒に寝るくらいの仲良しだ。その仲睦まじい様子に、猫好きの夫・真さんは悔しがっているという。
高いところに登れなくなったポポちゃん。時折外を見せてあげるためにキャットタワーの上のほうに乗せてもらう。下に降りることはできるので、リハビリにもなっている。洋子さんのベッドに登る時は、
「ポポちゃん用にダンボールで作った2段の階段を、よいしょ、よいしょと登るんですが、その姿が可愛いんです」
(まいどなニュース特約・渡辺陽)