保護猫の譲渡会に行ってみた…自由に参加できるの?引き取る時の流れや条件は?
「保護猫の譲渡会」ってよく聞くけど、一体どんな会?
どこでやってるの?
自由に参加できるの?
(なぜか)猫関連の記事が多いまいどなニュース編集部に、読者の方からそんな質問が寄せられました。なんというタイミングでしょう。数日後に神戸・三宮でボランティア団体「猫のミーナ」による譲渡会があるのです。代表の松井さんに連絡して、譲渡会の様子を取材させてもらうことにしました。
ミーナは、以前から別団体で猫の保護活動に取り組んでいた松井さんが、2015年に発足させました。譲渡会の開催を目的とするボランティア団体で、毎月第1日曜日と第3土曜日に譲渡会を開いています。会場は三宮のビルの一室。開催時間は午後2時から2時間ですが、多い日には100人ほど来ることもあるそうです。
6月2日の譲渡会には、6人の保護者から計15匹の猫が連れて来られました。会場に着くと、午後2時前なのに小さな部屋はもう人でいっぱいです。入口で「里親希望の方へ」と書かれた紙を渡され、手を消毒して入場しました。
そうそう、ミーナの譲渡会は基本的に出入り自由です。事前の予約や参加料も必要ありません。ただ主催団体によってルールが異なることもありますので、事前にチェックしておきましょう。
また、先ほどいただいたメッセージによると、ミーナの譲渡会では…
・当日、猫を持ち帰ることはできません。
・お試し期間(2週間~1カ月)の後、正式譲渡となります。
・正式譲渡となってから、寄付(手術前は5千円、手術済みは1万5千円)を頂いています。
・ご自宅は、必ず脱走防止対策をしてください。
・猫は必ず終生飼育、完全室内飼いをしてください。
・譲渡会終了後、1週間以内にこちらから連絡が入りますので、それまでお待ちください。
…などのルールがあるようです。特に大事なのは、終生飼育。「やっぱり責任を持って最後まで世話できるというのが第一の条件です」と松井さん。「だからこそ、いくら猫が好きでも高齢の人は引き取るべきではないと私は思います」
また、少し身も蓋もない話ですが、猫を引き取るならある程度の経済力も欠かせないといいます。毎日の餌はもちろん、何かあったときに病院代や薬代が捻出できないようでは困るからです。松井さんは「生活保護を受給しているなど、自分の稼ぎで生活できていない人が猫を飼うのは正直難しいです」と話します。
さて、会場内には長机が並べられ、その上にケージが置かれています。それぞれの猫の前には、猫の名前と年齢、性別、保護された経緯、手術済かどうかなどの情報を書き込んだ紙が掲示されています。
例えば、「多頭崩壊した家から引き取りました」「初めは人見知りをしますが、慣れればよい子になります」といった感じ。ケージの横には必ずその猫の保護者がいますので、普段の様子を聞いてみたり、抱かせてもらったりもできます。
この子だ!という猫が見つかったら、「エントリーシート」に記入してその場で簡単な面談を受けます。シートには家族構成や家族の同意の有無のほか、アレルギーなどの確認、家を長期間空ける場合に世話を頼める人がいるかどうか、家が戸建てかマンションか、などの細かい質問が並んでいます。さらに、ペットの飼育経験を訊ねる項目、ウイルス検査や不妊・去勢手術などの意思確認、お試し期間中の注意事項などもあります。
面談の様子を隣で見せてもらいました。
里親希望のある女性は、「脱走防止対策」に不安があるようです。「脱走した猫は、大体どこかに隠れています。私たちにすぐ連絡してくれれば、必ず探しに行きます」「保護猫は外で生きていくことができません。脱走イコール死だと思って注意してください」。松井さんたちの言葉に、女性は真剣な表情で頷いていました。
松井さんは「面談で言葉を交わしたり、お試し期間で実際にお宅を見せてもらったりすると、その人が猫を大切にできるかどうかは大体わかります」とほほ笑みます。
全ては保護猫の幸せのために。活動の趣旨に賛同できる人は、お近くの譲渡会を一度覗いてみてください。(まいどなニュース・黒川裕生)