庭に現れた2匹の子猫たち、性格がまったく違う2匹が取った行動と運命は
ミラくんとクルくんは、兄弟猫。一緒に民家の庭に現れたが、性格がまったく違う。人懐っこいミラくんと、警戒心が強いクルくん。2匹は兄弟なのに、まったく違う道を歩むことになる。
2018年10月末、鹿児島県に住む安藤さんは、ご主人の実家に行った時、たまたま庭に迷いこんできた2匹の子猫を見た。ご飯をあげると、それから時々姿を見せるようになった。1匹の子猫は、野良猫とは思えないほど人なつっこくて近くに寄ってきたが、もう1匹の猫は、さっと木の陰に隠れてしまうような子猫で、ご飯をあげても人がいなくなってから食べるような子だった。
11月初旬、人なつっこいほうの子猫は、窓を開けると自分から家の中に入ってきたので、そのまま保護したという。
1匹の猫を保護してから、もう1匹の警戒心が強い子猫はどこかに行ってしまった。鹿児島とはいえ冬は寒い。11月に入ると朝晩冷え込む日も多くなるため、安藤夫妻は子猫が生きていけるのかどうか、どこで何をしているのか心配になった。しかし、子猫は姿を現さない。
「どんどん寒くなってくるし、どうしたのだろうと気をもんでいたのですが、姿を消してから3週間くらい経ったある日、子猫が再び現れたんです」
子猫を見つけたのは、安藤さんのご主人。ガリガリにやせて、被毛もボロボロ、やつれきって酷い状態だったという。フラフラ倒れそうになりながら歩いて、「助けて~」と言っているようだった。
ご主人は実家で医院をしているが、職場と自宅は離れている。安藤さんの妻はすぐに自宅を出て、子猫を迎えに行った。動物病院に連れて行ったが、水様性の便が止まらず、かなり衰弱しているので、体が随分汚れていたが、きれいにするのは元気になってからのほうがいいと言われた。
体重は620g、最初に保護された子猫の半分くらいの大きさで、痩せこけていた。SSサイズのオムツを買ったが大きすぎて使えず、ケージの中にペットシーツを敷き詰めた。ご飯も食べられる状態ではなかったので、ドロドロの缶詰を、さらにお湯で溶いて食べさせたという。
「一週間くらいそんな状態が続いたのですが、あまり食べない子だったので、何回かに分けてこまめに食べさせたんです。1カ月後くらいにはずいぶん元気になって、普通に食べるようになりました」
最初に保護された子猫はミラくん、後から保護された子猫はクルくんと名付けられた。文字通り奇跡的に助かったから“ミラクル”からミラとクルにしたのだ。
ミラくんとクルくんはよく一緒に遊んでじゃれあい、楽しく暮らしている。
(まいどなニュース特約・渡辺陽)