「化粧品は病院で買うもの」に 元NYセレブが目指す美容×医療コラボ
ニューヨークのエッセンスと日本の技が溶け合ったスキンケア商品「SKIN ASM」が医療業界でも注目を集めている。大阪で美容スタジオを主宰するアケミ・S・ミラーさんがプロデュースしたもので、美容と医療のコラボを目指し、病院で販売しようとする革新的な試みだ。
今回、発売された商品は構想から実に3年かけて完成。一般的には1年ほどというから、その本気度が分かろうというもの。成分、香りなど細部にまでとことんこだわった。
手掛けたのは大阪でフェイスデザインスクール「AKEMI S. MILLER BEAUTY STUDIO」を主宰するアケミ・S・ミラーさん。ご存じ、トランプタワーの元住人だ。
1989年からニューヨークに25年在住。ファッションデザイナーとしてだけではなく、96年からはあの5番街にトータルビューティーサロンを開校。“アケミ流”を伝授された5000人以上の卒業生は現在、美容アーティストとして世界中で活躍している。
そのアケミさん、帰国後はトータルビューティークリエーターとして自身の人生も重ね、心と肌の“リセットアップビューティー”を提唱。この「SKIN ASM」は、その結晶といえるものでニューヨークで体感したアイデアと日本の最先端の皮膚科学を融合させた自信作だ。
もうひとつ、興味深いのが販売ルートだ。人生100年時代を鑑み、美容と医療のコラボレーションを提案。そこで思い切った戦略に出た。
「これからの化粧品はデパートじゃなく、病院で買うものという発想。例えば1階で購入することができ、希望者はフェイシャルを受けることができるというような」
斬新なアイデアは自身の体験に裏打ちされている。「亡くなった母が入院していたとき、顔の汚れを取ってとか、眉毛を直してほしいとよく言われました。入院中でもこっそり拡大鏡をのぞくのが女性なんです」
こんなこともあった。自身が著した「ニューヨーク流水肌メイク」をがんを患って入院していたトルコ在住のある人が実践。みるみるうちに顔色が良くなり、退院後に感謝の連絡を受けたという。
「世のため、日本の女性のために力になれたらと思って。女の人は年齢や状況にかかわらず、若々しく、きれいでいたいものなのです。エイジフリーの美しい肌が患者さんを勇気づけ、それが希望につながれば」
考えに賛同する人々も増えつつある。千葉市の小倉台福田医院もそのひとつ。実際、関係者が大阪のスタジオに足を運び、フェイシャル技術を習得する一方、院内でも販売し、好評を博しているという。
商品は白を基調に赤のアクセント。メイク落とし、洗顔など用途に応じて番号がふってあるのも何かと親切のような気がした。人生100年。この「SKIN ASM」が女性を輝かせるのはもちろんのこと、日本の化粧品の流通に一石を投じるかもしれない。(まいどなニュース特約・山本智行)
▼「AKEMI S. MILLER BEAUTY STUDIO」大阪市北区同心町2-3-19 タカラ同心ビル5F 06(6949)9194