山形の女医殺害容疑で大学生逮捕、無施錠の玄関から侵入の可能性も 小川泰平氏か指摘
今年5月に山形県東根市内のマンション室内で眼科医の矢口智恵美さん(50)が殺害された事件で、山形大4年の加藤紘貴容疑者(23)が殺人容疑などで逮捕されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は12日、デイリースポーツの取材に対し、無締りの玄関からの侵入の可能性があると指摘した。
5月19日午後6時前に室内で血を流して倒れている矢口さんが発見され、山形県警は20日、死因は頭部打撲による頭蓋(ずがい)内損傷と発表。19日午前5時頃、矢口さんが住むマンションの防犯カメラに不審な男の姿が映っており、また、室内には血の付いたゴルフパターが残されていたことが判明した。
同県警は、何者かに頭を強く殴られた殺人容疑で捜査を進め、事件から3週間余りでの逮捕となった。逮捕容疑は、5月19日早朝、矢口さん宅に侵入した住居侵入及び、何らかの鈍器で複数回殴るなどして殺害した疑い。防犯カメラに映っていた男と加藤容疑者が一致したとみられる。
小川氏は「山形県警が被害者宅周辺で事件のあった日の午前5時20分から30分頃にかけて誰か見なかったかという聞き込みをしていました。その時間帯に容疑者が防犯カメラに映っていたとみられます」と解説した。
大学生の容疑者と眼科医院長だった被害者の関係性について、これまでの捜査では「接点なし」とされている。小川氏は「“これまでの捜査”では、例えばスマートホンや携帯電話、メールやSNSのやりとりなどが全くないので『接点はない』とされていますが、容疑者が被害者を一方的に知っていた可能性は今の段階で否定できない」と指摘した。
容疑者は矢口さん宅のある階だけでなく、他の階も徘徊していたともみられている。小川氏は「そこが一番の不可解な点で。他の階も歩いていたとなると、戸締りをしていない部屋を探していた可能性もある。被害者は亡くなっているので、その時、部屋の鍵を間違いなく閉めていたかどうかは分かっていないが、朝5時半に他人の家を訪れ、合鍵を持っていない限り入ることは困難であり、被害者が知らない人だったら開けることはない。そういうことを考えると、部屋は“無施錠”だった可能性が考えられる」と推測した。
現場に血痕のついたパターがあったことについて、小川氏は「ほぼ間違いなくパターが凶器と考えられる」としつつ、「通常、殺害の目的で、ゴルフパターを凶器として所持して行くとは考えづらい。防犯カメラにも映ってしまう。おそらく被害者の自宅にあったものだろう。ということは、殺害を目的に侵入したわけではないと思われる」と分析。被害者宅が無施錠だったことに乗じて侵入し、何らかのやりとりがあった上で室内にあったパターで殴ったという可能性を示唆した。