カラスの襲撃を逃れた子猫 いまではボス猫として家中をパトロール
野良猫は頑強で、どんな環境でも生き延びられるかというとそうではない。交通事故にあうこともしばしばあるし、カラスに襲われることもある。寸前のところで命拾いをして生き延びたキジトラの子猫は、たくましい猫になった。
■犬派だったけど、猫派になった理由
東京都に住む長坂さん夫妻は、結婚してマンションで暮らし始めた。当時、長坂さんは犬派だったのだが、まるで長坂さんの帰宅を待っているかのように、階段の踊り場や近所の電信柱のところで佇むサバトラの猫がいた。家の中に入れてご飯をあげるうちに、「飼ったほうがいいのだろうか、うちで飼おうか」という話になった。
ところが、そう決めてからというもの、とんとサバトラの猫は姿を見せなくなってしまった。結局、行方不明になってしまったのだが、その猫がよくいた電信柱に「猫の里親募集」というビラが貼り出された。長坂さんは、「これは何かの縁かもしれない」と、ビラに書いてあった2匹の猫を譲渡してもらったのだが、これが長坂さんの猫ライフの始まりだった。
■カラスに襲われて亡くなった子猫
長坂さんの妻の実家は静岡県にあるのだが、周辺には野良猫がたくさん住み着いていた。のどかなところなので、猫たちが民家の敷地内や家屋に出入りしても、誰もとがめない。交通量も少ないので、猫たちは悠々と暮らしていた。長坂さんは、捕獲器を使わないで、猫たちとの信頼関係を深めながら母猫のTNRをして、子猫は、乳離れした頃を見計らって里親に譲渡している。
2013年の秋、長坂さんは、飼っていた3匹の猫のうち、1匹の猫を亡くしてロスに陥っていた。10月に入ると、妻の実家の隣家の納屋で子猫が産まれたという話が耳に入ってきて、たびたび静岡に野良猫たちの様子を見に行った。ところが、2匹の子猫のうち、1匹がカラスに襲われて亡くなってしまったのだ。
「ギャーっというカラスの鳴き声がしたので、その家の人が見に行くと、子猫が亡くなっていたそうです」
長坂さんは、残された1匹の子猫を引き取った。
■ ボス猫レオくん
生後2カ月くらいの時に、長坂家で2匹の先住猫と暮らすことになった子猫。名前は、やんちゃでライオンのようだから「レオくん」と名付けられた。
先住猫のグレは体重8kgもある巨漢猫だったが、体重1kgにも満たないレオくんはグレくんに威嚇されると、小さな体で正面から向かっていった。負けても、負けても挑みかかるレオくん。運動能力抜群で、その後も元気いっぱいに育った。
いまではレオくんは、後輩猫をまとめるボスのような役割をしているという。1日3回、何も異常がないか部屋中の見回りをするのをルーティンにしていて、後から来た猫が自分の意にそぐわないところにいると、まるで母猫のようにくわえて違う場所に運ぶ。
(まいどなニュース特約・渡辺陽)
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