印鑑が猫まみれ!予約3カ月待ちの「ニャン鑑」をついにゲットした
こんにちは、黒川です。…突然ですがこの「黒川」という漢字、よく目を凝らしたらいろんな部分が猫に見えてきませんか?ほら、「黒」の下にある4つの点々なんて、全部猫の顔みたいなもんじゃないですか。「川」に至っては、悠々と体を伸ばす3匹の猫にしか見えませんよね。私は一体、何を言い出したのでしょうか。
そんな世迷言を形にしてくれる奇特な会社が、大阪市此花区にある。城山博文堂。現在は3代目の城山謙一さん(54)が実質1人で切り盛りしている、印章や事務用品を扱う小さな販売店だ。
会社の設立は1963(昭和38)年。かつては印刷業も手掛け、活版印刷機のある作業場では職人たちが汗を流していた。しかし印刷の仕事はいつしか途絶え、インターネット通販などが普及した近年は、店舗の売り上げ自体も激減。「商売としてはなかなか立ち行かない状態になっていた」(城山さん)という。
価格や品揃えでは大手に太刀打ちできないと考えた城山さんが、起死回生の一手として5年前に始めたのがオリジナルのはんこ、その名も「おもしろMY印鑑」だった。「うちの得意分野で独自性を出せるとすれば、印刷かはんこしかないだろうと」。もともと学生時代は美術部で絵の心得もあった城山さんが、字の一部を猫にするデザインを自ら考案し、完全オーダーメイド通販の「ニャン鑑」として売り出した。
これが当たった。しかも、爆発的に。
「発売してすぐにテレビの取材がガンガン来て、Twitterでも話題になった。その影響で注文が殺到して捌き切れなくなったので、新規の申し込みをしばらくストップせざるを得なかった。毎日毎日、泣きそうになりながらニャン鑑を作り続けました」
通販の売り上げは、あっという間に店舗のそれを上回った。発売当初のような熱狂は落ち着いたとはいえ、今でも月400本ほどを受注しているといい、注文してから商品が届くまでは3~4カ月を要する。実は私も3月1日に注文していたのだが、順番が来て城山さんからデザイン案が送られてきたのが6月5日、取材と称して受け取りに行ったのが同12日だったので、やはり3カ月半ほどかかった。ちなみに黒川のニャン鑑、なかなかいい感じです。
「ニャン鑑を始めなければ、店はとっくの昔に潰れていた」と笑う城山さん。「でも、ネット通販は水物ですから。話題にならなくなったらそれで終わり。危機感は今も常に感じています」
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せっかくなので、実際に作るところを見せてもらった。
まずはパソコンの画面上で、漢字のどの部分を猫にするかを検討する。城山さんのパソコンには、いろんなポーズをした猫の自作イラストが数十種類用意されていて、例えば黒川の「川」なら、角度や長さを慎重に吟味しながら3匹を配置してデザインしていく、という手順だ。
画数が多いと難しいのかといえば実はそうでもないらしく、城山さん曰く「齋」の字などもほとんど問題なし。逆に画数が少ない方が、猫のバリエーションに乏しいため苦労するのだという。「私の名前、謙一の『一』なんかはその最たるものですね」と城山さん。デザインが決まり、発注者のOKが出れば、専用の機械で印鑑を作製。最後は城山さんがひとつずつ手作業で細かい部分をチェックして、晴れて完成となる。
印鑑作りについて、丁寧に解説してくださる城山さんの足元をふと見ると、なんということでしょう、サンダルが猫の形をしているではありませんか。「まあもともと猫は好きでしたけど、ニャン鑑を始めてからは、とにかく気になって仕方がありません。道端で猫を見掛けると、つい近寄ってしまうほどです」
そんな猫好きの城山さんだが、おもしろMY印鑑には「犬のはんこ・ワン鑑」もある。さらには名前の両脇に天使の羽をあしらったものや、誕生花、楽器、富士山のイラスト入りなど、デザインは多岐にわたる。だが、一番の売れ筋はやはり「ニャン鑑」という。猫は強し。
「おもしろMY印鑑と一般的な印鑑との大きな違いは、複数注文や再注文をされる方が多いということですニャー。自分で使うだけでなく、プレゼントなどにも活用されているという印象がありますニャー」と城山さんは話す。
ニャン鑑は印鑑タイプ(5120円~)とシヤチハタタイプ(3950円~)がある。城山博文堂のおもしろMY印鑑のサイト(https://www.inkan.name/)から注文できる。
…と、ここまで長々と書いてきましたが、肝心なことを忘れていました。これ、本当に使えるんですか!!!?「ニャン鑑~検証編~」は近日公開予定。(まいどなニュース・黒川裕生)