実は苦労人・加藤諒…芸歴20年も仕事がない日々「疲れたなんて言ってる場合じゃない」
舞台版に引き続き劇場版『パタリロ!』(公開中)で主人公・パタリロをハイテンションで演じる、俳優の加藤諒(29)。「まいどなニュース」のための単独取材が行われたのは、マスコミ各社へのPR取材が一通り終わった夜8時。関係者に聞くと、加藤は朝11時から取材対応をしていたという。休憩を入れているとしても約9時間の稼働。さぞお疲れかと思いきや、勢いよく開かれた扉から聞こえてきたのは「加藤諒です~!」という、パタリロに負けずとも劣らないハイテンションボイスだった。
驚くこちらをよそに「今回の劇場版『パタリロ!』の撮影時もスタッフさんから、全然疲れを見せないね!と驚かれたんですけど、単純に皆さんと接するのが好きなんです。もはや快感。もちろん辛いな~!と思うこともあるけれど、それ以上に、求められているんだ!ならば全力で返さなきゃ!という気持ちの方が勝るんです」と言い切る。
実は来年で芸歴20年のベテラン。芸能界デビューは『あっぱれさんま大先生』。当時10歳の加藤の中性的キャラが茶の間でウケた。だが成長していく中で“子役の壁”にぶち当たる。「26歳くらいまでほとんど仕事がなくて…。そんな僕のことを両親や事務所は見捨てず、信じて応援してくれた。だから疲れたなんて言ってる場合じゃないんです」と実は苦労人だ。
安定とは無縁の世界。高校卒業後に加藤が芸能界で活動を続けることに対して、両親は当初反対の立場だった。「両親としては芸能界から足を洗って資格の取れるような大学に進学してほしいという希望があった。でも僕は今の仕事で食べていきたいという思いがあったから…。凄く揉めましたね」と振り返る。
執着には理由がある。空手、塾、水泳、体操。幼少期からたくさんの習い事をやってきた。「その中で辞めないでずっと続けてこられたのが、ダンスと歌とお芝居。自分はこれが本当に好きなんだ、僕にはエンターテインメントの仕事しか考えられないと思った」。
そんな覚悟を持って進学したのが、多摩美術大学。芸能活動継続を反対していたはずの両親がパンフレットを取り寄せてくれた。芸能界で勝負していきたい、という加藤の熱意が認められたわけだ。「両親の支えもあって無事合格。そこからエンタメの世界を邁進することに」。映像演劇学科を卒業。劇作家の野田秀樹氏のもとでも俳優としてのイロハを学んだ。
今では両親が日本で一番の熱狂的加藤ファン。「実家の録画機には僕の名前が登録してあるので、出演するドラマやバラエティも全部見てくれている。祖母も、諒の名前を新聞で見るのが嬉しいって。家族の応援なしではできなかったことです」と現状の活躍ぶりを噛みしめる。
来年30代に突入するが「怖~い!ヤバ~イ!」と甲高い悲鳴を上げるも「いつまでもふざけたことを大真面目にやっていきたい」とビジョンはしっかりある。「大切にしているのは、手を抜かないということ。パタリロを演じるにあたり、原作者・魔夜峰央先生からは、6割程度の力でやってもらえれば…と言われましたが、僕は手抜きをせずに6割でやる!という気合で臨みました」。全力投球だが冷静な自分もしっかりいる。ハイテンションだけじゃない。中身で勝負だ。
(まいどなニュース特約・石井隼人)