【夜回り先生・水谷修 少数異見】逮捕された教員が勤務する学校側の問題

「少数異見=10=」

群馬県で10代の女子生徒を車に監禁した監禁容疑で内田慎也容疑者(27)が逮捕された。内田容疑者は女子生徒が通う県内の私立中教員。逮捕時には車内にスタンガンがあり、「わいせつ目的でやった」などと供述していることが判明して衝撃が走った。教育家の水谷修氏は自身の経験を踏まえ、学校側の対応など問題点を指摘した。

   ◇  ◇

群馬県で、中学2年生の女子生徒が、担任によって拉致され、車に監禁されるという事件が起きました。私は、長年、高校の生徒指導担当として、また、今は、子どもたちからの相談を受ける研究所の所長として、教師が引き起こす、数多くの問題に取り組んできました。

生徒との不適切な関係や、暴力などのケース、犯罪としては、山形県の高校教師による他校生徒への連続暴行事件など、数多く扱ってきましたが、このような計画性のない、衝動的な犯罪は、初めてです。教師にとって、自校の生徒に対して犯罪を犯すことは、確実に露見し、逮捕されることは自明であり、また、多くの教師にとって、生徒は守るべき大切な存在であり、傷つける対象ではありません。

今回、この教師には、何らかの精神的な問題があった可能性が高いと私は考えています。それにしても、最悪の事態に至らなかったことは幸いでした。

しかし、この事件後の、この教師の勤務していた学校の対応には、問題しか感じません。校長や学年主任等による正式な記者会見が行われることなく、教頭と称する人物が、マスコミの取材に答えています。かつて、女子更衣室を覗いたという生徒たちからの訴えに対しても、この教師からの聞き取りで誤解だと決めつけ、生徒の胸を触ったという親からの情報に対しても、被害生徒からの訴えはないとそれでおしまいにしています。だれが、どのような調査を行ったかも明らかにせず。いったい、この学校は、どのような学校運営をしているのでしょうか。

また、この学校の危機管理や生徒保護の体制はどのようなものなのでしょう。しかも、この加害教師に対して、そこまで追い込んだ可能性があると語りながら。どうも、この学校では、守らなくてはいけないのは、教師であり、生徒ではない。そうまで思いたくなります。

被害女子生徒の人権を守るという観点から、情報提供を制限することは、当然のことですが、教頭が、このようにマスコミに話してしまっては、さらに被害を拡大し、傷つけられる生徒が多数出てしまいます。また、このような体制のこの学校で、当初の事件の被害生徒の心のケアをしつつ、保護し育てることはできるのでしょうか。

まずは、この学校のすべての関係者にお願いがあります。速やかに外部の専門家による調査機関を作り、この教師によって他に被害が受けた生徒がいないのか調べて欲しいのです。それと同時に、この問題が、単なる一人の男の衝動的な犯罪なのか、それとも、その背景に何らかの学校内の問題がなかったのかを調べて欲しいと思います。被害生徒や精神的にショックを受けた他の生徒の保護は当然のこととして。そして、すべての調査が終わった段階で、理事長、校長、教頭などの管理職は、この責任をとって辞職し、新しい体制で、このような問題が二度と起こらない学校を作って欲しいです。

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス