「結局、現金がラクじゃね?」“乱立”するスマホ決済 素朴な疑問を投げかける漫画が話題
スマホアプリを使って、現金を使わず商品代などを払う「スマート決済」が広がっています。10月にも予定される消費税増税を前に、バーコードやQRコードを使う「PayPay」「LINEpay」などのコード決済も次々登場しています。便利さの一方で、「どれが使えるの?」「どれがお得なの?」と戸惑いや混乱も広がる中、「結局現金が一番簡単じゃ?」と核心を突いた漫画がSNSに投稿され、「その通り!!」と話題になっています。
大石浩二さんが漫画サイト「少年ジャンプ+」(集英社)で連載中の「トマトイプーのリコピン」の一コマ。いわく、「かわいい絵柄で誤魔化しながら、世の中のモヤっとした部分をイジる」のがコンセプトで、大石さん自身が日常の中で「おかしいな」と感じたことを書いていますが、「たまに暴走して3割ぐらいはボツになっている」そうです。
-ご自身もコード決済を使われているのですか?
「ええ。PayPayが昨年末にやった20%還元のキャンペーンがキッカケで、コード決済を使うようになりました。おそらく世の中に一気にコード決済を広めたのはPayPayのこのキャンペーンだと思います。でも、使ってみてすぐに、これは面倒だ!と思いました」
実際、話題になった漫画では、リコピンが店員に勧められコード決済のアプリをダウンロードしたものの、いざ別の店で使おうとすると「うちの店では使えないよ」と言われ、別のアプリを紹介されることに。仕方ないので、複数のアプリを導入したものの、今度は種類が多過ぎて店員の側が対応できなくなって…というカオスぶりが描かれています。
実は漫画の掲載自体は4月でしたが、セブン‐イレブンの7payの不正アクセス被害が発覚した直後の今月4日、「スマート決済乱立し過ぎて、スマートとは程遠い方向に進んでませんか」などというコメントとともにツイッターに投稿したところ、「やっぱり現金が最強」「分かりやす過ぎ」と反響が相次ぎ、これまでに2万2千件以上リツイートされています。
-私はまだ現金派なんですが、そんなに面倒なんですか。
「JR東日本のSuica(スイカ)などのICカードや、FeliCa、iDなどケータイ、スマホから支払う方が、タッチして終わりなので何倍も便利で楽です(メルカリが提供しているメルペイはiD決済できますが)。クレジットカードの方がまだ便利、くらいのレベルで、コード決済は使い勝手は良くないです」
-おっと、一刀両断ですね。
「漫画にも書きましたが、手間が多く、使える店があったりなかったりで、必然的にいくつも〇〇Payのアプリを入れなければいけない、いわばそれぞれが別のサイフになるわけなので、残金の管理もしづらい、という状況になっています」
-それって、コード決済に将来はあるのでしょうか。
「今のままでは無理でしょうね。そもそも、使い勝手に期待してコード決済を始める、という人は僕を含め少ないと思います。単純に求めているものは使い勝手や便利さではなく『キャッシュバックの大きさ』なので、20%オフのキャンペーンがないなら使わない、という人が多いのではないのでしょうか。今はどこのサービスもシェアを獲得するために様々なキャンペーンをやっていますし、実際に使うと得をすることは確かです。僕自身、PayPayとLINE Payのアプリを入れていますが、大きなキャッシュバックのあるキャンペーン以外では使ってません。この先も永遠にキャンペーンを続けない限りは、コード決済は広まらないと思います」
-7payの不正アクセス問題もありました。
「以前のBlu-rayとHDDVDの規格争いの時のように、世の中を便利にするものを開発しているのに企業の競争のせいで結果的に不便になる、というバカらしいことがたくさんあります(残念なことに漫画業界もそうかもしれません)。やっぱり消費者としては、早く規格が統一されて欲しいものです」
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そもそも、財布の中だって「ポイントが貯まってお得」と言われて持ったカードでパンパン状態で、いざ使おうとしたらどこにあるか分からない…なんてこと、ありませんか?私はしょっちゅうです。「お得」だけに踊らされず、必要性や安全性などしっかり見極めないといけないな、と肝に銘じました。まあ、そもそも落とし物常習犯には、そんなアプリ持たせてはいけないのかもしれませんが…。
(まいどなニュース・広畑千春)