7月15日は「海の日」ですが…船を愛する“ツイッタラー”発案の記念日でもあった

 7月第3月曜となる15日は「海の日」だが、同日は「内航船の日」でもあることをご存知だろうか。今年は偶然にも海にちなんだ2つの記念日が同日となったことを記念し、兵庫・神戸市の神戸海洋博物館で「海へ届ける絵画展」が開催されている。実はこの「内航船の日」、船を愛するツイッタラー(ツイッター利用者)たちが発案した記念日。絵画展の企画もその発案者たちによるもので、ツイッターを通じて国内の海上輸送を支える内航船を一般の人にも身近に感じてもらおうという取り組みだ。

 「海へ届ける絵画展」を企画したのは兵庫県在住の2人の画家、青山大介さんと谷川夏樹さん。青山さんは自身の生まれ育った港町神戸を描く鳥瞰(ちょうかん)図絵師として知られ、谷川さんは世界各地を旅するキャラクター「コンテナくん」をモチーフに活動。両者とも海にまつわる作品が多いのが特徴だ。絵画展では海運会社のカレンダーの原画など、これまで2人が描いてきた絵画約40点が展示されている。

 2人が出会ったのは今から5年ほど前。「青山さんに影響されて急に船の絵が増えた」という谷川さん。青山さんの行きつけだった船好きが集まる神戸のバーでグラスを傾けるうち、それまでは「コンテナくん」の乗り物として描いていた船に興味を持った。店では船員など海運に従事する人々とも知り合い、内航業界の抱える問題にも触れることとなる。

 国内の港と港を行き来してさまざまな物資を運ぶ内航海運は、一般的にはあまりなじみのない業界だが、実は国内輸送の約4割を担う日本経済を支える重要な産業。特に石油製品、鋼材などの産業基礎資材においては、そのおよそ8割を内航海運が担っており、また離島では生活物資の輸送や住民の足としても船は無くてはならない存在である。

 しかし、近年の少子化や高齢化の影響などから慢性的な船員不足が続いており、技術の継承や安定的な運用が難しくなっているという。当時、ツイッターでも船員たちと交流のあった谷川さん。「初めは『7・15=ナイコー』という語呂合わせから遊び半分で言っていたのですが(笑)」内航海運の認知度を上げることで人手不足解消の一助となるのではと「内航船の日」制定をツイッターで提案。青山さんを含めた陸上の人たちと海の上で働く人たち有志で記念日登録に必要な資金の出資を募り、2015年12月、日本記念日協会により7月15日が「内航船の日」と正式に登録・認定された。

 今年で4回目を迎える「内航船の日」は業界紙やSNS上で取り上げられることにより徐々に浸透。毎年記念日に合わせて販売されるオリジナル手ぬぐいも、今年はほんの30分ほどで用意した100枚すべてが売り切れる人気ぶりだったそう。

 東京では「内航船の日」に合わせて、船乗りたちが撮影した写真を陸へのメッセージとして展示する「海から届ける写真展」が毎年開催されている。今回の「海へ届ける絵画展」は言わばそのアンサーソング的展示。海上で働く人たちを元気づけたいと、作品はどれも撮影可能とし、ツイッターへの投稿を推奨しており「“#内航船の日”というハッシュタグをたどって海の上の人たちは陸の人たちのつぶやきを見ている。内航海運に携わる人たちと一般の人たちがつながるきっかけになれば」と2人は話す。

 展示作品には2人がツイッターで交流している船員が乗り組む船も多く描かれている。展示を見て内航船に興味が湧いたら、ツイッターで内航に関わる人たちのつぶやきをのぞいてみるのも楽しそうだ。「海へ届ける絵画展」は神戸海洋博物館展示ロビーにて7月21日まで開催。(まいどなニュース特約・たまのみか)

※神戸海洋博物館公式サイト http://www.kobe-maritime-museum.com/

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