2代目ねこ塾長 早逝した先代を継ぎ、生徒たちの学業を見守る うちの福招きねこ~西日本編~vol.2

 鹿児島県指宿市にある「昇学塾」は、ねこが”塾長”を務める学習塾。「強く、優しく、豊かな心を持った人間を育てる」という指導理念のもと、小学生から高校生までが学んでいる。開塾当初から塾で飼われ、生徒たちに大人気だった初代塾長のしょう(オス、享年6歳)は18年6月、病気で亡くなったが、今は後を継いだ2代目ねこ塾長のくれよん(メス、推定3歳)が、生徒たちの出迎えや見送り、教室巡回などを務めている。飼い主で代表の山元英樹さん(48)は2匹への愛情と信頼を語った。

 先日の6月26日は、しょうの1周忌でした。塾の入口にしょうの祭壇を設けているのですが、当時、しょうとともに学んだ卒業生たちもわざわざやってきてくれて、手を合わせてくれたんですよ。私も毎日、塾にやってきたら、祭壇にまずご飯と水と花を供え、「今日も1日よろしくね」と話しかけるのが日課になっています。

 塾を開いたのは2013年12月。その2週間ほど前、交通事故で大ケガを負い、瀕死の状態だった猫を塾の前で保護しました。それがしょうです。一命はとりとめたものの、ケガの回復具合は遅く、完治するまでに半年以上かかりました。しょうを心配した当時の生徒たちは、自分たちのお小遣いを持ち寄ってベッドを買ったり、家から毛布を持ってきてくれたりして、世話をしてくれました。

 もしかしたら助からないかもと思ったこともあったんです。でも、諦めずに治療を続けた結果、元気になり、おとなしくて人なつっこい性格のしょうは、生徒たちの人気者になりました。そこで私はしょうを塾長に任命し、受験勉強に励む生徒たちには、「大ケガから回復したしょうを見てごらん。何事も諦めちゃいけない、『為せば成る』だよ」とよく言ったものです。

 一方、くれよんは16年9月、夫婦で熊本・天草の下田温泉を旅行中、道ばたでうずくまっているのを見つけて保護した子。塾にくれよんがやってくると、しょうは、おてんばでやんちゃなくれよんを受け入れ、やさしく接してくれました。

 しょうの体調がおかしいと気づいたのは17年12月ころ。食欲がなくなり、日に日に顔や体がやせ細っていく姿を見るのは辛かったです。くれよんは、そんなしょうを思いやってか、添い寝をすることもありました。病院通いと懸命な看病を続けましたが、昨年6月、しょうは虹の橋を渡りました。

 この塾の立ち上げからずっとここにいてくれて、しょうがいたから私もここまで頑張ることができました。もしいなかったら、ここまでやってこられたかどうか…。もっと一緒にいられると思ったけど…、ともに過ごした4年8ヶ月は、私にとって宝物です。そして今はくれよんが後を継いで、2代目塾長として生徒たちの癒し的存在になってくれています。

 今春の入試では、中学、高校生の生徒全員が、第一志望の学校へと無事進学することができました。試験前、「志望校に合格できますように」と、くれよんに合格祈願する生徒もいて、くれよんはまるで猫神様のようでした(笑)。これからも塾長として、生徒たちを支え、見守ってほしいです。(まいどなニュース特約・西松 宏)

▼【塾名】昇学塾【住所】鹿児島県指宿市十二町2166-2【電話】0993-26-3389

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