「マグロ」「マンゴー」に続いて今度は「近大メロン」だ! 奈良の農園と共同開発
お見舞いや、あらたまったギフトでしか買う機会のないマスクメロン。なにしろ1玉6000円以上はする高額商品である。そんな高級メロンを「もっと身近に」と、「松井農園」(奈良県田原本町)が「近畿大学」(大阪府東大阪市)と共同開発したメロン『バンビーナ』が、「阪急うめだ本店」(大阪市北区)に7月23日、初入荷し、近大学生による試食販売がおこなわれた。
こちらの価格は1玉3780円(2kg以上)。確かにバースデーケーキを買うなら、こちらでもいいか、と思える価格となっている。食べてみると、芳醇な香りで果肉はやわらかく、みずみずしい味わいで、すっきりとした後口が残る。糖度は一般のメロンが13~15に対して、バンビーナは16以上あるという。生産者の松井邦彦さんに話を聞いた。
──メロンはブランド化や高級化が進んでいますが、手頃な価格を目指したのは?
「一般の方はきっと、年に何度かしか食べないメロンをもっとたくさん食べて欲しくて、カジュアルなメロンを作ろうと思いました。メロンの栽培面積は全国的に、ピーク時から今は3分の1に減っています。作りやすくて病気に強い品種を開発すれば、全国各地で生産してもらえます」
──カジュアルメロンを開発し、生産量も増やそうということですね。
「はい。野菜や果物を栽培するのに大変なのは、病気の対策です。メロンの場合はフザリウムといってカビの一種の病菌があります。この病菌に耐性のある品種改良に成功したのがバンビーナなんです」
──近畿大学とは、どのような連携をとられたのですか?
「奈良市に農学部があって、2016年から共同開発を始めました。うちには今までに生産してきた品種の株がありますから、それを提供しました。メロンの苗の根にフザリウムを接種して、病気に感染するものとしないものを選別し、耐性の強いものを厳選していきました。その過程を、教授と学生さんと連携して進めました」
──時間と労力がかかりますね。
「そうですね。でも品種改良には、ゴールがありません。ほかの病気にも強い苗を開発したり、糖度や食味をもっと改良したりもできる。メロンは収益性が高い作物なのです。奈良県内にも使われていない農地がたくさんあります。そこを使ってカジュアルなメロンをもっとたくさん栽培できたらと思います」
「メロンは当たり外れが多い」「もらったら食べるけど買ってまでは食べない」「食べ頃がわからない」という声が多く、今までは、そのおいしさや魅力が消費者に伝わっていなかったと松井さんは話す。
明治期から続く松井農園の9代目である松井さんが、2010年から取り組む「感動メロンプロジェクト」は、ひとりでも多くの人に、本当においしいメロンを作り、売り、食べてもらうことを目標にする。そのため、自社サイトでは果実のメロン以外に苗や種も販売する。
──バンビーナなら、ふたつに切って、スプーンでひとり食いできますね。
「王様食いですね。種を取った部分にバルサミコ酢をたらして食べると、おいしいんですよ。酸味と甘みは合いますからね!」
なるほどそれは、メロンの最高の食べ方かもしれない!
阪急うめだ本店の「キムラフルーツ」(地下2階)に入荷したのは200玉。売り切れ次第、販売終了となる。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース・金馬 由佳)