手持ち花火の先の「ヒラヒラ」ちぎる?ちぎらない? 花火メーカーに聞いた
夏です。花火の季節です。庭先で(マンションや住宅が密集していると無理ですが)、近くの公園(最近はダメなところも多いですが)で、海で(時間や地域により制限もありますが)、手持ち花火を楽しむご家庭も多いのではないでしょうか。
そんな中、手持ち花火の先にあるヒラヒラしたところを「ちぎるか、ちぎらないか」がネット上で話題になっています。実際に商品を見てみると、確かに説明書きに「保護のためにあるのでていねいに切り取る」と書かれたものが。SNS上では「知らなかった!」「火をつけるためにあるんだと思っていた」と驚きの声が次々と上がっています。一方、別のメーカーの商品には「ちぎらないで点火してください」とあります。いったいどっち??
花火メーカーの「筒井時正玩具花火製造所」(福岡県みやま市)の三代目、筒井良太社長(46)に聞きました。
-あの「ヒラヒラ」って、そもそも何なんですか?
「紙や和紙でできていて、元はといえば飾りです。いろいろ呼び名はあると思うのですが、弊社では『口張り(くちばり)』と呼んでいます。一般的な手持ち花火=『ススキ花火』では、まず新聞紙などで作った筒に火薬を詰め、きれいな紙で巻き、口張りを付けます。紙で巻くのも口張りを付けるのも、火薬がむき出しになってバラバラになるのを防ぐためと、デザインの問題ですね」
-では、ちぎるものなんですか?
「メーカーや花火の種類によって違います。口張りの下に導火線が付いている花火と、付いていない花火があって、付いているものは外して使うのが一般的です。噴出するタイプの花火などはそれですね。口張りを外さないと火が着いているかを確認できないですから」
「一方で、導火線が付いていない単なる飾りの場合は、切り取っても構いませんし、子どもさんの場合は安全に火を着けるため、紙の部分を燃やして火薬に誘導することもあります。ちなみに、弊社の花火はちぎらなくても火が着くようにしています」
-つまり、花火やメーカーごとに違うと。
「ええ。口張りが大きすぎれば火薬に到達する前に火が消えて何度も付け直さなければいけないこともありますし、いきなり火薬に点火してやけどしないよう口張りを燃えやすいものにしてスムーズに点火できるよう工夫したものもあります。袋などにある注意書きをきちんと読んで頂くことが、事故を無くすためにも一番大切です」
とのことでした。ついつい、花火にばかり目が行って、袋なんて破って捨ててしまいがちですが、花火の火薬が燃焼する温度は1000度を優に超えるといわれ、一歩間違えばかなり深いやけどを負ってしまうこともあります。何事も注意書きを読むことが楽しく遊ぶポイント。反省します。
(まいどなニュース・広畑千春)