「宿題を最後まで残しておいたら…」衝撃の自由研究に挑む息子を見守った父は、さらに自由だった

 「宿題をさいごの日まで残しておいたときの自分と家族の反応」と題した、岩手県のある小学生の衝撃的な自由研究が話題を呼んでいます。やらなければならないと分かっていながらキャンプや旅行を楽しむ甘美な背徳感。そしてその存在を思い出した瞬間、襲い来る緊張感と焦燥感。そしてそれが極限まで達した末にたどり着いた「清々しい朝」と世界平和を願う境地…。小学生とは思えない文章力と完璧な構成で書かれた自由研究。巷には自由研究のネタ本やサイトがあふれ、クラスに何人かはほぼ同じ内容の研究をしてくるご時世にあって、この研究を温かく見守ったお父さんってどんな人?と思い、お話を聞いてみました。

 「あんな自由研究をよくOKしましたね、ですか? いやいや、な~んも知らんかったですよ。(宿題を全然やってないと)気付いたのは最終日近かったんじゃなかったですかね」。話題の自由研究の中でも、怒り狂う母(普通はこっち)と対照的に、ほのぼのとした反応を見せる父は、あっけらかんと振り返る。

 父はあの「あまちゃん」のロケ地としても有名な岩手県久慈市で、「創業元禄二年」で「300年つぎ足した秘伝の塗料」でどんなに壊れた車も直してしまうというという、とある自動車板金店を営む。業者に頼む費用をケチって自作したという超シンプルなホームページには、オリジナルキャラ「鈑金塗装子ちゃん」が。金づち…ではなく、仕事で使うハンマーがモチーフだそうだ。

 「美術や技術は得意でした」という父は「慈善事業」にも積極的で、毎年クリスマスには今回自由研究をした長男を始め、3人の息子に「サンタさんから渡された」手作りのロボットを届ける。息子たちはそれでも欠かさずサンタさんに「仮面ライダーのベルトが欲しいです」「ゲームをください」などと手紙を書くのだという。

 鈑金塗装子ちゃんのキーホルダーもフェルトを手縫いで。極め付きは、新婚の友人に贈った巨大テディベア(らしきもの)。綿が足らなくて古い布団や座布団をほどいて詰め「8年かけ制作した」というが、新婦がダニにやられ、ひそかに解体されゴミに出されたらしい。

 「面白いことは好きですね。え?変わってる??自分ではそうは思ってないですけど…」と父。他にもお弁当を「開けたときびっくりするべな」と一面ごはんだけにする(下にはきちんと奥さんが作ったおかずが入っています)など、したい放題という。そんな甲斐あって、店は地元では「結構知る人ぞ知る」存在なのだそうだ(鈑金塗装子ちゃんはLINEスタンプまであります)。

 今回の自由研究の発想と伸びやかな感性を生む、自由な環境、そして…英才教育??について「夏休みの宿題は、僕もバッチリ最後の日まで残して泣きながらやってましたね~。だから、我が子ながら親近感が沸きました!」とか。長男について「彼は、キャンプなどのイベントが大好きで、家にじっとしていたくないタイプ。何もなかったら庭にテントを張って一人で泊まったりと、自立心は強いかもしれません」と話す。

 「子育て?そんな偉そうに言える立場でもないし、うちのワイフがしっかりしてるので…。まぁ、習い事も子どもがしたくなければやらんでいいと思っているし、親がしゃしゃり出なくても最終的にちゃんと自立して働いてくれればいいなと…」

 なんとも、深い懐です。そうそう。肝心の宿題がどうなったかですが、自由研究の主の長男さんは最終日に何とか全てやり遂げ、弟さんは終わらなくて始業式当日の朝も机に向かっていたそうです。でも、「次男の方は全く焦ってなくて、あっけらかんとしてました」(父)とか。さすが…次男、恐るべし。

(まいどなニュース・広畑 千春)

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