図書館からハリー・ポッターが追放される? ネット上で驚きや戸惑いの声
米テネシー州ナッシビルのカトリック系の学校が、世界的ベストセラー「ハリー・ポッター」を図書館から撤去することを決めた。
米メディアによると、聖エドワード・カトリック・スクールの学校の神父が「本の中で使われている呪いや呪文は、本物の呪いと呪文である。人に読まれれば、その文字を読んでいる人に悪霊を呼び寄せてしまうリスクがある」と教職員にメールをし、学校の図書館からハリー・ポッターのシリーズを撤去することを推奨した。この学校には、日本の幼稚園児から中学2年生に相当する子どもたちが通っている。
神父は悪魔払いをする司祭らと連絡を取ったうえで、今回の判断を下したという。
インターネット上には、この学校の図書館からハリー・ポッターがなくなることに、驚きや戸惑いの声が上がった。「ハリー・ポッターがだめならば、他にも禁じるべきことはたくさんある」、「銃はなぜ、禁止しないのか」、「子どもから読書の喜びを奪う」などという意見があった。
しかし、ハリー・ポッターが「禁書」のように扱われたのは、今回が初めてではない。1997年に出版されたハリー・ポッターは、米図書館協会によると、21世紀に入って、撤去するようにというクレームの最も多い本であるそうだ。
米図書協会のブログでは、ハリー・ポッター以前は、子ども向けの本については、性的な内容、不適切な言葉などを理由に撤去を求めることが主だったが、ハリー・ポッターはファンタジーの内容に多くのクレームがついた最初の書籍だという。オカルトや魔術などのテーマをしており、読んだ人に悪霊や呪いのリスクがあるという理由でクレームがついた。
今回は、学校の神父がハリー・ポッターの撤去を求めたが、2006年には米ジョージア州で保護者が学校区の図書館からハリー・ポッターを排除するよう求めたことがあった。これも、オカルトや魔法などが理由だ。保護者の訴えに対し、学校区はハリー・ポッターを図書館から撤去する予定はないと回答。しかし、保護者は納得せず、裁判に持ち込んだ。裁判所の判断は、ハリー・ポッターをこれまでと同じく図書館に置くというものだった。
ハリー・ポッターを読んだ人に悪霊が取りつくリスクがあるとは私は思えないが、それを懸念する人が出てくるほど、年齢を問わず夢中になって読む人が多いことを示しているのだろう。
(まいどなニュース特約・谷口 輝世子)