上西小百合の炎上騒ぎに巻き込まれた神戸の俳優 “バカ映画”の祭典に今年も参加

神戸を拠点にフリーで活動する俳優の水野祐樹さんが、9月29日に東京であるオムニバス形式の自主制作お笑い映画「マイルド鉄ドン アホな子 バカな子 マヌケな子」の上映会に参加する。20代は東京で舞台や自主制作映画に出演してきたが、30歳を過ぎて「身の振り方を考えた」結果、生まれ故郷の神戸へ。現在はコールセンターで働きながら、自主制作映画を主戦場に俳優業を続けている。かつて、自身が監督する短編映画に元衆議院議員の上西小百合を出演させたことで、炎上騒ぎに巻き込まれてしまったという稀有な経験を持つ水野さんは今年、39歳になった。

1980年、神戸市垂水区出身。高校生の頃から劇団に所属し、学生時代はテレビ番組の再現VTRやUSJのCMにも出演した。地元情報誌の読者モデルも務め、「コンスタントに週4~5日は仕事があった」という。

ところが大学卒業後、意気揚々と上京したところ、仕事は一気にゼロに。「自信もあったのでノリで東京に出たけど、今にして思えばいろんな意味で準備不足だった」と苦笑いと共に振り返る。

そんな中、活路を見出したのは、東京で初めて知った自主制作映画の世界。現場の自由な空気と芸術性を追求するストイックさに面白さを感じ、積極的に出演を重ねた。この時期で思い出深いのは、「ボクと天使とあの夏ノおもひで。」という2008年の作品。なぜか北欧のラトビア共和国の映画祭で上映されることになり、水野さんもメインキャストの1人として現地テレビ局のインタビューを受けたという。ちなみにWikipediaの情報を信用するならば、水野さんは09年には10本ほどの自主制作映画に出演し、そのうち何本かでは主演を務めたらしい。

2011年に帰郷。20人ほどの監督が参加するオムニバス形式の「鉄ドン」の存在を知り、14年から監督兼俳優として短編を出品している。映画は毎年制作され、大阪と東京で上映会を開催。“バカ映画”を自認するユニークな企画として一部で知られており、会場から「金返せ!」とブーイングされるのが最高の栄誉なのだという。

17年には、「インドのマサラムービーのような短編映画を作りたい」と考え、「なんとなくマサラムービーに出てそうな顔をしている」というよくわからない理由で、当時衆議院議員だった上西小百合に出演をオファー。よくわからないがOKの返事があり、撮影時間として40分をもらえたという。

その2年前に本会議を欠席して温泉旅行に出掛けていたことなどが判明し、既に維新を除名されて無所属で活動していた上西。その後もTwitterなどで度々炎上騒動を起こしており、この映画出演の件も格好の“餌食”になった。

「ワイドショーとかで映画撮影時の上西さんの映像が使われるんですけど、彼女の隣にはいつも、上半身にモザイクをかけられた僕が映っているんですよ。上西さんの映画出演はネットニュースにもなって、コメント欄には僕に対するものも含めて批判が殺到しました。怖かったです」。そ、それはいわゆる“自業自得”というやつなのでは…?

そんな水野さんも来年で不惑である。今までやめずに続けてこられたのは「この仕事が好きだし、何より現場が楽しいから」と語る。「2日間寝ずに80分のVシネを2本撮る、というしんどい経験もしたけど、映画祭で会った人たちとひたすら映画の話をするのはやっぱりたまらないものがある。東京で一緒にやっていた人たちが今も頑張っているのを見て、刺激をもらうこともあります」

俳優の小手伸也が40歳を過ぎてからNHK大河ドラマ「真田丸」や月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」に出演して遅咲きのブレイクを果たし、「シンデレラおじさん」として名を馳せたのは記憶に新しい。奇しくも小手と同様、コールセンターと俳優の二足の草鞋を履く水野さんも「小手さんには親近感を感じざるを得ない」と笑う。

10月には、存続問題を抱える神戸電鉄粟生線を題材にした映画にも参加する予定で、今後も地元で俳優を続けていくという。最後に一応フォローしておくと、実際に会って話した上西は「結構いい人だった」らしい。

「鉄ドン」の上映会は9月29日、東京・九段下の「ワイルドファイア・スタジオ」で13時、17時の2回。http://tetsudon.com/

(まいどなニュース・黒川 裕生)

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