中学3年生・国語の読解問題が謎すぎてミステリー級 まるで名探偵を育てる謎解き問題?

長野県の中学3年生が、国語の授業で出題された読解問題が話題です。ミステリーのような短文を読んだ上で、「結婚式の前日に2人の男女が心中した理由」を答えるといった内容ですが…情報量が少なすぎて、何をどのように解答すればいいのか、本当に謎。ほとんど推理問題の世界なんです。こんな問題を中学生が勉強していること自体がもしかしたらミステリー級。実は名探偵を育てる秘密の学園教材なのでは…?

話題になっているのは、18歳の高等専門学校生・フィボナッチ数列(@Brainvolte)さんが投稿した「きちんと文章を読み取るための問題」です。妹さんが学校で出題された問題だそうですが、要約しますとこんな感じです。

   ◇   ◇

深夜のレストランで語り合う2人の男女。男は巨大自動車会社社長の御曹司、女はメガバンク頭取の令嬢で、二人は翌週末に結婚式を控えています。二人は手を取り合いながら、語り合います。

女「…ねえ、私のこと本当に愛してる?」

男「もちろんさ。周囲が僕らの結婚を政略結婚だと言っていることは知っているし、両家のためにもこれが一番良い形なのだろう。でもそんな事、僕には一切関係ない。君が一番大切なんだ」

女「うれしいわ。私にとって、大切なのはあなただけなの」

ところが、結婚式の前日、二人は避暑地の湖畔に停めた車の中で死んでいるのが発見されます。警察は心中と断定しました。

…さあ、問題です。「二人が心中した理由を答えなさい」

   ◇   ◇

みなさん、いかがでしょう…分かりますか? 筆者は「イヤキチされた2人が思いつめて『真実の愛を証明するんや』とかつまらんこと考えただけなんとちがうの」などと思いましたが…。

ちなみにフィボナッチ数列さんによると、「どっちもそれぞれ別の人と政略結婚するってことで、愛し合ってる2人が直接結婚するってことじゃないから」というのが解答だそうです。ネットでは「答えがなぞなぞレベル」「国語というより脳トレやんけ」「とんちとしては面白いけど、文章読解の問題ではない」といった反応が続々と寄せられています。

一部描写をあえて伏せることで、読者側に足りない部分をいろいろ想像させる「叙述トリック」が使われている文章になっており、面白いとの評価もありましたが、「きちんと読み取るほど、出題者の拙い文章が浮き彫りにされるだけ」「読み取れる情報から想像し得る筋の通った解答は全て正解にすべき」という指摘もありました。

詳しい内容を、フィボナッチ数列さんに聞きました。

-妹さんが勉強された問題ですが、出題された経緯を聞かせてください。

「国語の授業中に、文章に親しみを持ってもらおうということで、先生が出したそうです」

-もうすこし詳しく教えてください。

「テストで出されたわけではないので、それぞれの意見を出しあってディベートしたそうです。その後、最終的な答えが提示され、そのようになるポイントについて説明を受けて、みんな理解して終了…といった流れだったそうです」

-妹さんは当初どんな解答をされていたのでしょうか。

「これはリプライやリツイートでも多くあった意見ですが、『2人の愛は本物で、政略結婚ではないことを示すために心中した』と回答していたようです」

-授業で最終的に提示された答えについて、フィボナッチ数列さんは納得できましたか?

「そうですね、最初は納得がいかなかったのですが、何回も読むと、文章の小さな所でうまくハマっているので、納得できました」

-中学校でこのような問題が出題されたり、このような問題をつかった授業をしていることについて、どのように思われていますか。

「長野県の高校入試は、数年前から読解力を試される形式の問題が使われているので、読解力を鍛えるという点では、少し捻りのある文章を読ませるというのはいい取り組みだなと思いました」

   ◇   ◇

このような問題の是非について、兵庫教育大学でメディアを活用した国語科教育の研究を進めている羽田潤准教授に聞くと、授業中でディベートなどが行われていたことから「読むことよりも、話すことや聞くことを伸ばす意味で、国語科の授業としては成立している」とのこと。

しかし…なんでしょうこの釈然としない感じ。やはり読解問題としては破綻していませんか? しかもネットでは男女の愛の末路について聞くことに「題材的に学校で出す内容なのか疑問」「察せというにはあまりにも難しい。まともに生きてきた子どもには選択肢として出てこない」という意見もありましたよ…

「確かに『男女の心中』というテーマは、一般的な中学校の教科書にはあまり例がありませんね。授業ではやや扱いにくかったのではないかと思います。しかし、それだけ生徒たちを『刺激』したかったのかもしれません」

「国語で学ぶ文章をきっかけに、活発に意見を交わすということは、なかなか難しい状況があります。このような取り組みを通じて、国語の授業を活性化したかったのかな、という姿勢を強く感じます」

なるほど…。そしてもしかしたら、こういう議論をみんなでしていくこと、それ自体が社会全体の『国語力』のアップにつながっているのかもしれませんね…。そのあたりの真偽は秘密の学園の名探偵におまかせしましょうか…。

(まいどなニュース・川上 隆宏)

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