世界初の「人をイライラさせる扉」が出現…デジタル沼のイラつきがリアルにまで浸食!?

世界初の「人をイライラさせる扉」がTwitterで話題を呼んでいます。えっ?何が何だか分からないですって? それはもう一見にしかずです。真っ黒な背景に白地のアレが描かれているんです…そう、あのアレ!です。面白いニュースの「もっと見る」アイコンをクリックしたときに現れたり、動画配信ドラマを見ている最中、ヒーローが悪党たちに急襲されて危機一髪…ああっどうなっちゃうのー!?と思ったときに現れたり…ここぞというときに「しばらくお待ちください…」と画面上でクルクル回り続ける「読込中」のマークです。でも…アレが出現するのはデジタルの世界だけなのでは?

投稿したのは一ノ瀬翔太さん(@shotichin)。『世界初(?)の、「人をイライラさせる扉」です』というコメントとともに、黒字に白いクルクルの画像を投稿しました。画像を見た人たちからは、「クルクルが『止まっている』という最悪なやつですね…」「写真の中にあってもイライラする。。。」などのコメントが寄せられ、「イライラが止まらない…」状態に。

この画像の正体はというと…本を開いて一番最初に現れる扉(本扉)部分の写真です。正確には投稿者の一ノ瀬さんは早川書房の編集者で、10月発売の新刊をチラ見せしていたのでした。しかしデジタルと違って、本はリアルに手に取れる「物質」のはず。なぜこんなことに…。みんなをイライラさせる投稿をした一ノ瀬さんに聞きました。

-みなさんイライラしていますよ…。

「世間の人々をイライラさせてすみません(笑)。これは10月3日発売の『デジタル・ミニマリスト』の書籍の扉絵なんです。本にはスマホやSNSに振り回される生活を送る人々に向け、『デジタル沼』からの脱却について書かれています。この白いクルクルには、誰もが一度はネット上で『イラッ…』とさせられた経験があるはず。認知度抜群のアイコン、との考えからこのデザインに。正直、思った以上の反響です。それだけこの小さなアイコンが呼び起こす共感力は大きいのだな、と改めて思っています」

-しかし本を開いた初っ端からこんなにイライラさせられては、誰も読もうとしないかも…。

「いえいえ、この『イライラ扉』を見てイラッ…とした人にこそ読んで欲しいんです。『デジタル沼』に深く浸かっているということですから。『情報を見逃したらどうしよう』という恐れから休日でも気がついたら2時間くらいSNS見てる…昨今、そんな人は多いと思います。でもそんな当てになるか分からない小さな可能性を延々チェックし続けるより、確実に自分の人生を充実させることに時間を使おうよ、というアドバイスが書かれています。スマホがあると、休み関係なしに社用の通知が来てしまう、とお悩みのビジネスパーソンにもぜひ」

-作者は“テック界のこんまり”と呼ばれているとか。

「そうなんです。作者は気鋭のコンピューター科学者で、本書は米アマゾンでも『Amazon.com ベストブック 2019 』に選出されました。作者本人はFacebookも一度もしたことがないそうなんです。そういうと『なぜ?』と人に聞かれるけど、『ではそれをする意味は?』とたずね返すと誰も確たる答えを返せない、と。また散歩が趣味で、特に用がなくても近所を行ったりきたりする。ハリケーンの日でも防水用パンツをはいて散歩に出かける…それもこれもスマホなどから離れ、自分を見つめる時間を作るためだというんです。それで自身は生産性も上がった、ということです」

すごく徹底した人なんですね…。一ノ瀬さんや筆者のように常に情報を探し求め、ツィートへのリプライやメール通知などをチェックするのが職業病ともいえる人間でも効果があるといいます。実際、一ノ瀬さんは読後、以前よりデジタル依存がほぼ半減し、本も集中して読めるようになったそう。

「SNSや各種通知をチェックし続けるのを、やめたいのにやめれない。だらだら続けてしまう…というのが一番気持ち悪いと思います。ぜひデジタル・ミニマリストになっていただければ」

◆『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』カル・ニューポート/著 池田真紀子/訳  1800円(税抜)・10月3日発売

(まいどなニュース特約・山本 明)

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