消費税増税で西成の「1曲100円カラオケ」どうなる? 美人チーママに聞いてみた
”ディープな街”大阪・西成区のあいりん地区周辺に広がる商店街に奇抜な「カラオケ居酒屋」が林立しているのをご存じだろうか。簡単なアテとお酒が安く飲めるとして2012年ごろから急増。いまではその数、150軒とも300軒ともいわれている。なかでも最大の売りは「1曲100円」のカラオケ。消費税増税を前に、きりのいい値段をキープできるのか。美人チーママに話を聞いてみた。
大阪メトロ「動物園前」を出て「動物園前一番街商店街」に入ると派手な看板のカラオケ居酒屋が次から次へと目に飛び込んで来た。トロピカル風だったり、チャイナ風だったりと店構えは多種多様だが、基本カウンターの店が多い。
「お兄さん、どうですか?」「どうぞ、いらっしゃいませ~」。中国人をはじめアジア系らしき若い女性が手招きをしてくれる。ふと、時計を見ると午後3時を回ったあたり。そこには不思議な世界が広がっていた。
さすがに、この時間帯とあって店内の客はまばら。メニューをみるとビール500円、カラオケ1曲100円というのが基本のようだ。
気になるのは消費税アップに向け、料金設定をどうするのか。思い切って中に入ったものの、取材となるとNGの店が多い。諦めかけたところで運良く話の分かる女性と出会った。「一期一会」2号店のチーママ、さやかさんがその人。大阪出身で今春から本格的に働き始めたと言う。顔出しNGだが、なかなかの美人だ。
店内はボトルが整然と並び、カラオケの点数によって、ボトルのサービスなどを実施している。やはり、この店もカラオケ1曲100円だ。
「みなさん、歌が好き。中には歌だけ歌って帰られる人もいるぐらいです。だから消費税が上がっても、カラオケはいまのまま100円という店は多いと思います。110円というわけにはいかないでしょう。関西やし、きりのいい値段が好き。計算もしやすいですから」
この店のオーナーは中国人女性。別の場所で1号店を切り盛りしているそう。さやかさんに店の売りを聞くと客層の良さを真っ先に挙げた。
「このあたりのお店は中国人の女性が多いので日本人の女性は珍しがられますね。ここに来るまでは怖いイメージの街でしたが、実際はそうでもないですよ。なかでも、この店はいいお客さんばかり。ただ、カラオケの100円はそのままにしても、飲み物などを値上げすることになるかもしれませんね」
店を出た後、カラオケ居酒屋が最も集中している今池本通商店街でも聞いてみたが「110円なんて野暮」と同じような答えが返って来た。
日雇い労働者の街はいま、「中国マネー」に席巻されかけている印象を受けたが、これも時代の流れか。「1000円ちょいで飲んで歌って、かわいい店員さんと話ができるのがいい。カラオケ100円に決まっとる」。隣にいた常連風の客が豪快に笑った。
(まいどなニュース特約・山本 智行)