【京大・安部教授コラム】電車が「ふつう」「ドライ」クリーニング…子どもの頃の勘違い
「科学よもやま話=8=」
子供のころに盛大に勘違いしていて、気づいたときにはかなり恥ずかしいということありますよね。僕もいろいろありました。その中でも、事故のため電車がふつうになりましたというニュースを聞いたときに、ふつう(不通)を、“普通”と思っていて、特急が普通になったのかと高校生になるまで思っていました。アホですね。
もう一つ。最近まで不思議に思っていたことがありました。クリーニングです。背広などをクリーニングに出したときに“ドライ”クリーニングで非常にきれいになって返ってきます。ドライというので、液体を使わないでどうやって、服の汚れを落とすのだろうと思っていましたが、調べてみると、“水を使わないで、有機溶媒(油ですね)を使って洗濯することをドライクリーニングという”とあるではないですか。
ドライというのは、一般的には乾いたとか、乾燥したというという意味なので、液体を使わないものと信じ切っていました。油を使うということであれば、なるほど納得です。“類は友を呼ぶ”なので、油汚れには油が効くということですね。醤油とかの汚れはドライクリーニングでは落ちにくいということも理解できました。水と油なので、仲が悪いのですね。
最後にもう一つ。小学校の高学年のころ、夏休みに両親と阪急電車に乗っていました。色白だったので、少しでも焼けようと窓の近くに腕を押し付けていたところ、親に何をしているんだと問われ、日焼けしようとがんばってると言ったところ、ガラスは紫外線を通さないから、焼けるわけがないねんと非常にバカにされたことを覚えています。
ところが、大学生になってガラスの勉強をしたときに、ガラスは紫外線を通すことを学び、教えられたことが間違いだったことが分かりました。トラックのドライバーの人たちはいわゆる運転焼けされることを考えれば、ガラスが紫外線を通すのは当たり前のことですよね。ちなみに最近の電車ではUVカットガラスが用いられているので、ほぼ紫外線を通しません。まだまだ恥ずかしい勘違いをしていたことがありますが、うちの学生さんにこれ以上アホかと思われるのも嫌なので、このあたりで。
◆安部武志(あべ・たけし)2009年、40歳で京都大学工学部研究科教授に就任。電池技術委員会賞、炭素材料学会学術賞などを受賞。京大工学部卒、大阪府出身、50歳。趣味はゴルフ。