「こんなところ見るはずもないのに…」 あの名曲オマージュの自虐看板が突然バズる

向かいのホーム スマホ世代が

こんなところ 見るはずもないのに

Twitterユーザーのみやさこなおすみさん(@fishaction1)が、「皮肉の利いた山崎まさよし」というコメントと共に投稿したある看板の写真が話題になっている。あの名曲「One more time,One more chance」の印象深いフレーズに乗せて、スマホ世代の目に留まりにくい広告主の悲哀を自虐的かつユーモラスに表現。思わず「願いがもしも叶うなら…」と続けたくなるこの名コピー(?)は、どのように生まれたのか。看板の連絡先を頼りに、西鉄自動車学校(福岡県大野城市)に電話してみた。

看板があるのは、福岡県筑紫野市にある西鉄紫駅のホーム。看板自体は昨年6月から設置されているのだが、最近この駅をたまたま利用したみやさこなおすみさんが気づいて投稿したところ、実に1年3カ月もの雌伏期間を経て、大きな反響を呼ぶことになった。「う、歌えてしまう!」「バズった結果スマホ世代にも届くことになる流れエモい」などのコメントも相次いでいる。

ところが、西鉄自動車学校の担当者は「山崎まさよしさんの歌ですか?そんなつもりはありませんが…」などとわけのわからないことを言う。

そ、そ、そ、そんなわけあるかーッ!!!

「考えたのはグループ会社のコピーライターで、松尾という男です」。というわけで、今度は福岡市の広告会社、西鉄エージェンシーの松尾昇さんにコンタクトを取った。

「ターゲットは紫駅近くの高校に通う生徒たちです。ホームでは高校生たちが俯いてスマホをいじっている光景をよく見るので、『そもそも広告に目を留めてくれるのか』という不安がありました」と松尾さん。「こうした状況と、『向かいのホーム』というフレーズが、『One more time~』とうまくリンクしたのです。パッと目について、印象に残ってくれるのではないかと思いました」

…やっぱりバリバリ意識しとるやんけ!!!

ところで、「One more time~」は1997年に発売された歌。松尾さんはリアルタイム世代ではないですよね。

「僕は現在28歳ですが、さすがにこのレベルの名曲だと普通に知っていますよ。M-1グランプリの決勝(2006年)でチュートリアルさんが使ったり、『天気の子』が大ヒットしている新海誠監督の『秒速5センチメートル』(07年)の主題歌になったりもしていますし。今の高校生にもある程度は馴染みがある歌なのではないでしょうか」

みやさこなおすみさんの「皮肉の利いた山崎まさよし」という一言がよかったのか、1年以上経っていきなり大々的に注目されたことについては。

「西鉄自動車学校への注目度もアップしたので、看板を作った甲斐があったというものです。実はこの看板、これまでもTwitterでちょくちょく言及されていたのですが、どれもせいぜい“小笑”レベルでした。同じネタでもバズるかどうかは本当に運やタイミング次第で、予測できないものですね」

そんな松尾さんは、西鉄自動車学校の担当として他にも数々のプロモーションを手掛けてきた。代表作のひとつが、公式サイトでも公開されている「免許であなたもハッピーに!ドライブ童話」である。白雪姫の小人たちや、浦島太郎がもし免許を持っていたら、あの物語の結末はどうなっていたか…?という短いパロディ動画。興味のある人はチェックしてみては。私もこれを見て、次に生まれ変わったら西鉄自動車学校で免許を取ろうと思いました。

(まいどなニュース・黒川 裕生)

■ドライブ童話 https://nishitetsu-ds.ac.jp/drive_mukashibanashi/

■西鉄自動車学校 https://nishitetsu-ds.ac.jp/

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