これは落書きではない。大阪の新たな観光地になりそうな「道頓堀アートストリート」を直撃!
真っ黒だった道頓堀の壁をキャンパスに、次々と描かれていくストリートアート。これまで、ストリートアートといえば建物の壁やフェンスにペンキやスプレーで描かれる“落書き”のことを意味し、迷惑行為とされてきたものだ。しかし「道頓堀アートストリート」に描かれるストリートアートは落書きではない。これまで使われていなかった壁がアートの力によって観光客や若者の間で話題を呼び、大阪の新たな観光地になりつつあるのだ。
「道頓堀アートストリート」は、道頓堀橋から西に進んだ遊歩道の壁をキャンパスに35個ものアートが描かれるアートストリート。完成予定は2019年末だ。現在(取材日9月20日)、既に13個のアートが描かれており、子どもや魚、キャラクターなど[a]が並ぶ。まだ全てのアートが揃っていないにも関わらず、遊歩道に足を運ぶ人が以前に比べ増加している。若者や観光客が中心となって、ストリートアートを背景に撮影した写真をSNSに投稿することで、話題が広がっているのだ。
しかし、なぜ道頓堀の遊歩道にアーティストが集まり、次々とストリートアートが描かれ始めたのだろうか。「道頓堀アートストリート」のプロジェクトは、180(ワンエイティー)株式会社が南海電気鉄道と大阪市と連携して取り組んでいる。今回は、180株式会社の上仲昌吾さんにお話を伺った。
上仲さんによると、有名なグリコのある道頓堀橋には人が集まる一方、その西側の遊歩道には人が少ない部分があり問題視されていたという。そこで、その問題を解決するために南海電鉄と大阪市と連携し、使われていない壁とストリートアートを組み合わせ、新たな観光地を作り出すことになったのだ。上仲さんは、このプロジェクトを「これぞ『ウォールシェア』の目指す世界観です」と言う。
「ウォールシェア」とは、今まで使われていなかった壁に経済価値を生み出すべく、社会問題とされていたストリートアートを組み合わせて、アートとしての価値を生み出すシェアリングエコノミーのサービスだと、上仲さんは話す。つまり、使われていなかった壁をキャパスとして利用することで、経済価値や仕事が生まれるという今後普及するであろう新しい概念だ。
今回の「道頓堀アートストリート」の場合は、道頓堀の遊歩道の使われていなかった真っ黒な壁を利用し、アーティストが仕事としてストリートアートを描くことで、観光地としての経済価値が生まれている。
計画通り進めば「ウォールシェア」によって、一つの観光地が生まれることになるのだ。「道頓堀アートストリート」は、2019年末の完成を予定しており、完成すればグラフィックアートとペインターアートの合わせて35個のアートを楽しめる観光地となる。
上仲さんは、道頓堀アートストリートを完成させた後、大阪以外でも行政や電鉄会社と協力しながらウォールシェアの全国展開を目指しているということだ。取材中、上仲さんが話した「アートは言葉を介さないコミュニケーションツール」という言葉通り、日本だけではなく世界に展開していく可能性を感じた。
今後大阪に訪れる際は「道頓堀アートストリート」を見逃すわけにはいかないだろう。このアートストリートは完成後も定期的にアートの入れ替えを行うとのことだ。「今後、このアートを求めて道頓堀に足を運ぶ人は間違いなく増える」と上仲さんは語る。
(まいどなニュース特約・工藤 柊)