鯉V逸はカープちゃんの呪い? リーグ3連覇見守ってきた鯉党の人気者にいったい何が…
■勝利の女鯉が行方不明
おでこに赤いCマークが入り、「カープちゃん」という愛称で親しまれた鯉(コイ)をご存じだろうか。カープが25年ぶりに優勝を飾った3年前に山口県光市の冠山総合公園の池で発見され、ファンの間で人気者になっていた。しかし、今年4月に行方不明になり、現在も見つかっていない。カープの連覇も途切れ、「カープちゃんの呪いでは」という声も上がっている。
赤いCマークが頭部に入った鯉が発見されたのは2016年9月。光市観光協会の職員が冠山公園内の修景池で他の鯉にまじって泳いでいるところを見つけた。「カープちゃん」と名付けると、直後にカープは25年ぶりのリーグ優勝を達成。カープちゃんを紹介した同公園のホームページには多くの反響が寄せられ、「勝利の女鯉(めごい)」として一躍、人気者となった。
カープは2016年に続き、17、18年とリーグ3連覇を達成。同公園にはカープちゃん目当てに多くの人が訪れるようになった。カープの2軍が本拠地にしている由宇球場も近いため、2軍の試合を観戦後、同公園へ立ち寄るのもカープファンの定番コースの一つとなっていた。
■失踪から5カ月いまだ手がかりなし…誘拐説も
ところが、今年4月に異変が起きた。来園者から「最近、カープちゃんの姿を見かけなくなった」という声が寄せられた。スタッフが総出で探したが発見できず、池の柵に「行方不明になりました」と掲示。5月30日にはホームページなどでも公表し、情報提供を呼びかけた。テレビのワイドショーでも大々的に取り上げられたが、まったく手掛かりは得られず、現在も見つかっていない。
同公園では姿を消した理由を次のように考察している。
(1)死亡説 鯉の寿命は15年~20年。病気や寿命で死亡するケースがあり、カープちゃんも推定年齢は15歳以上。ただ、死亡した場合は体にガスが溜まって水面に浮かんでくるが、現時点でカープちゃんは浮かんでいない。
(2)鳥の襲撃説 鳥に襲撃され、エサとして連れ去られるケースもある。しかし、同公園周辺には体長50センチのカープちゃんをくわえて連れ去ることができるような大型の鳥は生息していない。
(3)家出説 時折、近隣の田んぼで鯉が見つかることがある。しかし、池から田んぼにつながる水路の幅は狭い。稚魚が逃げ出して田んぼで成長して発見されるケースはあっても、体の大きなカープちゃんが池から逃げ出すことは不可能。
(4)誘拐説 最も有力な説だが、同公園には防犯カメラもなく、立証は不可能。
同公園管理事務所のカープちゃん担当・福永千恵さんは「神隠しにあったとしか思えない。心配だけど手の打ちようがない」と肩を落とす。「カープちゃんTシャツ」や「カープちゃん饅頭(まんじゅう)」などカープとのコラボ商品の発売も検討し始めた矢先の失踪でもあっただけにショックは大きい。
5月に11連勝で首位に躍り出たカープも、行方不明が公表された直後、6月の交流戦で大失速。当時、ネット上では「カープちゃんの呪いでは」と指摘する声が相次いだ。結局、カープは4連覇を果たせず、緒方監督も辞任に追い込まれた。福永さんは「行方不明の反響は大きかったです。カープもこういう結果に終わり、改めて偉大な鯉だったんだなと思いました。もっと大切にしてあげれば良かった」と悔やんでいた。
■カープちゃんの後継者は?
カープちゃんのいた修景池には約100匹の鯉が住んでおり、「リボンちゃん」「カエルちゃん」「ぼたんちゃん」「金魚ちゃん」「ブラックハートちゃん」「人面さん」などのニックネームを持つ仲間がいる。いずれもカープちゃんの後継者として期待されているが、カープちゃんの存在が大きすぎたこともあり、人気者になるのも簡単ではない。福永さんも「看板選手になれるかどうかは、これからの努力次第」と鯉たちの一層の奮起を求めていた。
(デイリースポーツ・工藤 直樹)
◆冠山総合公園 2002年に開園。梅やバラを中心に四季折々の花木が楽しめる。園内からは瀬戸内海を一望できる。入園無料。開園時間は9時~17時。休園日は毎月第2、第4水曜。住所は山口県光市室積村6288(TEL0833・74・3311)