神戸いじめ教員は傷害罪、暴行罪など該当か…逮捕の可能性は? 元アイドル平松弁護士が解説

 神戸市須磨区の市立東須磨小学校の20代教員が、同僚の先輩教員4人から目に激辛カレーをこすりつけられるなどのいじめを受けた問題は、動画が残っていることもあり、教師による異様な行動に怒りと驚きの声が絶えない。加害教員の行為は犯罪に該当するのか。もし、当たるとすれば逮捕はあり得るのか。かつて歌手デビューを果たした元アイドルの平松まゆき弁護士にQ&A方式で解説してもらった。

  ◇  ◇

 Q 神戸市立東須磨小学校の20代男性教員が同僚の先輩教員にいじめられていた件,率直にどう思われましたか?

 A あの動画を見たときは目を疑いました。とても「いじめ」では片付けられない問題ですね。

 Q 犯罪に該当しますか?

 A 「目や唇に激辛カレーの汁を塗られる」「背中をひじでぐりぐりと押したり足を踏みつけたりする」という行為は暴行罪(刑法208条)に該当し、その結果、身体の生理的機能に害が生じた場合には傷害罪(刑法204条)が成立し得ます。まぶたが腫れ上がった画像があったようですし、目に刺激物を塗るなどという行為は暴行罪にはとどまらないと考えられます。

 Q 「無理やり車で自宅まで送らせる」「無理やり他人にわいせつなメッセージを送らせる」はどうでしょうか?また、生徒の前でポンコツに由来する「ポンちゃん」と呼ぶこともしていたようです。

 A 無理に義務のないことを行わせる行為は強要罪(223条1項)ですね。それまでの力関係や暴行等があったうえでということであれば完全に萎縮してしまい、任意ではあり得なかったでしょう。屈辱的なあだ名で呼ぶことについては侮辱罪(刑法231条)が考えられます。

 Q 「携帯電話にロックをかけて使えなくする」ということはどうですか?

 A 詳細な事実関係が分からないので明言はできませんが、器物損壊罪の可能性があります。器物損壊罪については「傷をつける」、「破壊する」といったことを連想されるかもしれません。しかし、「損壊」とは物の効用を失わせるという意味ですから本来の目的を果たせなくする、使えなくするという場合に成立します。嫌がらせ目的で物を隠す場合もこの器物損壊罪に該当します。なお、携帯のロックに限らず、すべてのいじめ行為は民事上の不法行為責任(民法709条)を当然、問われるところだと考えます。

 Q 加害教師らが今後逮捕される可能性はあるのでしょうか。

 A 逮捕は、逮捕の理由と逮捕の必要性が要件とされています。逮捕の理由というのは、その者に犯罪の十分な嫌疑があることです。逮捕の必要性は、逃亡のおそれがあることや罪証隠滅のおそれがあることを言います。今回のケースでは動画が残っているわけですし、犯罪の嫌疑があるとする相当性は十分かと思います。あとは加害教師らが逮捕される恐怖感から逃亡することや、互いに関係者に接触し合って口裏合わせをして罪証隠滅を図ることが想定されるなら、逮捕に至る可能性があります。もっとも、世間的に事件が発覚する以前から警察が動いていて既に任意の取り調べ等が終わっているなら、在宅のまま起訴という流れになるかもしれません。

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 平松まゆき(ひらまつ・まゆき)弁護士。大分県別府市出身。12歳のころ「東ハト オールレーズンプリンセスコンテスト」でグランプリを獲得し芸能界入り。17歳の時に「たかが恋よされど恋ね」で歌手デビュー。「世界ふしぎ発見!」のエンディング曲に。20歳で立教大学に入学。芸能活動をやめる。卒業後は一般企業に就職。2010年に名古屋大学法科大学院入学。15年司法試験合格。17年大分市で平松法律事務所開設。ハンセン病元患者家族国家賠償訴訟の原告弁護団の1人。

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