禁断の園・宝塚歌劇の楽屋の香りを再現!? 元タカラジェンヌの自信作
乙女の園、宝塚歌劇団。もちろん男子禁制、女性ファンであってもその楽屋に踏み込むことはできません。だけど足を踏み入れられない秘密の花園だけに、どんな香りに包まれているか気になりませんか?
そんな楽屋の香りを忠実に再現したルームフレグランスが「楽屋のかおり」です。
元タカラジェンヌの葦笛(あしぶえ)るかさんが、大勢のOGジェンヌの協力を得て、忠実に香りを再現し、2003年に香り袋として誕生。ルームフレグランスの誕生は2014年ですが、昨年、元タカラジェンヌのユーチューバー彩羽真矢(あやはね・まや)さんが「本当に楽屋の香りがする!」と感動し、取り上げたことで、タカラヅカファンの間でお土産として一気に人気に火が付いたそうです。そこで生みの親の葦笛さんに話を聞いてみました。
--「楽屋のかおり」を作るきっかけは?
「偶然通りかかった輸入インテリアのお店にあったアメリカのタンスシートから、懐かしい香りがしていることに気付いたんです。すごく楽屋の香りに似ていたんです。すぐにタンスシートを購入し、細かく切り、日本全国の調香してくれるお店に送り、石鹸、ファンデーション、白粉、整髪料、鬢付け油、さらには衣装や床山のさんの鬘(かつら)、大道具や小道具の木の香りまでミックスさせ、楽屋の香りに近づけました」
--香りを決めるまでには、苦労もあったのでは?
「最終的に2種類の香りまで絞り、多くの元ジェンヌに感想を聞きました。すると1種類目がオーソドックスな娘役のようで、もう1種類が整髪料のような爽やかなシャープな香りが強い男役のようだということで、結局絞り切れない(笑)。そこでそれぞれ『楽屋のかおり ロマン』『楽屋のかおり ハイカラ』として販売することにしました」
--楽屋の香りが無くなった時期があったとか。
「現在の宝塚大劇場は1993年に、東京宝塚劇場は2000年に建て替えられオープンしました。だけど新しいと楽屋には何の香りもないんです。2年くらい経ったころから、新しい劇場からも旧劇場と同じような香りが漂い始めたんです。楽屋の香りは大勢のタカラジェンヌによって時間をかけて作り出されたものなんです」
--他の劇場も同じような香りですか?
「日本にはいくつも劇場がありますが、不思議とこの香りは宝塚の劇場以外にはないんですよ」
--パッケージのイラストがレトロで目を引きます。
「(故)中原淳一先生の絵なんです。両親の仲人が中原淳一先生・葦原邦子さんご夫妻だった縁で、許可を得て使用しています。タカラヅカの日本物を演じている女性のような雰囲気がして大好きな作品なんです。『楽屋のかおり』以外にも、あぶらとり紙のパッケージも先生の絵を使用しています。元々、かさばらないタカラヅカ土産というのが、お店の出発点ですから」
昨年、YouTubeでこの『楽屋のかおり』を取り上げた彩羽さんにも話を聞きました。
--はじめて香ったときの感想は?
「楽屋だ~!って(笑)。本当に楽屋の香りなんですよ。実はファンの方からいただいんですが、使用するまでは半信半疑でした。ところがシュっとひと吹きした瞬間、タカラヅカのときのことをぶわーっと思い出しました」
--いわゆる思い出と香りがリンクするというプルースト現象ですね。
「まさに“THE タカラヅカ”なんです。香りと思い出は結び付いているといいますが、本当にいろいろな思い出が次々と(笑)。OGの方に懐かしい香りとしてプレゼントしてもいいかなと思っています」
葦笛さんのお店「Fairy」は宝塚大劇場の向かいにある花のみちセルカの2階にあります。通信販売もしているそうなので、興味のあるかたはぜひどうぞ。
(デイリースポーツ・石川 美佳)