骨折して母猫に見捨てられた子猫、右前脚を切断も…家猫になって元気に飛び回る日々
東京都に住む岡田さんは、先住猫のチロちゃんを飼っている傍ら、近隣で暮らす3匹の野良猫の様子も見守っていた。3匹のうち1匹はおはぎちゃんという子猫だったが、右脚を骨折していた。引き取りたいけど引き取れない、岡田さんは悩みに悩んでいた。
■健気に生きる野良猫たち
チロちゃんという白猫を飼っている岡田さん。さらに、家の中にも出入りしていたいなりちゃんという猫を家猫にしたいと思っていたが、ご主人が反対していた。ある時、ひじきちゃんという黒猫の野良猫が1匹の子猫(おはぎちゃん)を連れてぴったりくっついて歩いていた。2匹といなりちゃんは仲が良く、一緒に遊んでいたという。
2018年11月下旬、アパートのゴミ捨て場にある用具置き場で、おはぎちゃんがうずくまっていた。
「お母さん猫のひじきちゃんと一緒にいなかったので、いつも一緒だったのになんでだろうと不思議に思いました。なんとなく具合も悪そうだったんです」
■骨折していた
その数日後、岡田さんは、いなりちゃん用の段ボール箱を置いたが、そこにおはぎちゃんが入っていたので、おはぎちゃんを出そうと思った。その時、岡田さんは、おはぎちゃんの右脚が折れていることに気が付いた。捕まえようとすると遠くに行こうとするが、足が思うように動かず行けないようだった。
「最初、気づいた時には、あまりの衝撃に涙が抑えられませんでした。屋上におはぎ用に段ボール箱を置いて保護してごはんをあげたのですが、捕まえることはできませんでした」
いつもそばにいたお母さん猫は、脚を骨折しているおはぎちゃんから逃げるようになった。歩き方がおかしいので、生きていく力がないと思ったのかもしれない。おはぎちゃんは、ひとりぼっちで、ぽつんとしていた。
「脚の痛みより、お母さん猫が離れて行ったことが辛かったと思います。でも、いなりちゃんがそばに寄り添ってくれていたんです」
■手術後、めざましく回復
なんとかおはぎちゃんを保護しようとした岡田さん。猫好きな隣人に事情を説明して、一緒に捕獲することになった。おやつで気を引いて抱っこして捕まえたが、離したらだめだと思い、必死で抱きしめた。すると折れた脚に触ってしまったようで、おはぎちゃんは大きな声をあげて鳴いた。しかし、その後は、痛みのせいなのか、疲れたのか大人しくなり、動物病院に連れて行くことができたという。
「脚が折れているのを知った時、なんとしてもうちの子にしようと思いました。獣医師からは、肘を残すと予後が良くないので、肩から切断することを勧められ、その場合、家猫にならないと生きていくのは難しいと言われたんです」
岡田さんは、ご主人に相談したが、家猫にはできないと断られた。公園でひとり悩み、泣いていたそうだ。隣人が「うちで引き取ってもいい」と言ってくれたが、なおさら愛情が増してきたので、泣きながらご主人を説得。やっと引き取ってもいいということになり、12月、おはぎちゃんは岡田家の猫になった。
先住猫のチロちゃんは、おはぎちゃんが来ると食べたものを吐くようになった。1カ月くらいは慣れないようだったが、年が明けると回復した。
おはぎちゃんは、術後、力が入らないのか、バランスを取るのが難しいのか、立つこともできなかった。立たせてもすぐに横になってしまったが、2週間もすると顔つきが生き生きとしてきて、徐々に歩けるようになった。いまでは、先住猫のチロちゃんより元気に飛び回っているという。