田代容疑者は「薬物を語る側」になって体が覚醒剤を欲した可能性も 小川泰平氏が指摘
元タレントの田代まさし容疑者(63)が覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで宮城県警に逮捕された。田代容疑者は2014年7月2日に出所していたが、5年後の今回、覚醒剤での4度目逮捕となった。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は7日、当サイトの取材に対し、これまで自身が見てきた薬物常習者が再犯した実例を挙げながら、同容疑者が再び薬物に手を染めていった心理を探った。
小川氏は「私の経験でいうと、執行猶予期間中、または出所後も、当たり前だが、覚醒剤から遠ざかり、本人はもちろん、家族も周りの者も覚醒剤の話も一切せず、薬物のことも眼中になく、仕事で頑張って来た人が再犯するケースが意外と多い。『執行猶予とは薬物を再びやらなくなるための期間』という勘違いしている方々が多いのです。執行猶予の意味は当然理解はしてはいるのだか、この期間を過ぎると薬物と完全に切れると思っている人が少なくない」と指摘。その具体例を次のように語った。
「例えば、執行猶予3年なら、3年が過ぎた時点で本人も周囲も『大丈夫だろう』と思ってしまう。その3年がたち、本人や家族とお祝いをしたり、周りの者たちとも薬物の話が解禁になり、『覚醒剤をやった時は実際はどうなるの?』といった会話も出てくる。本人も執行猶予期間を我慢してきたのだから、『もう大丈夫だろう』と、その体験を周囲に話すようになる。そうなると、言葉では理解していても、脳ミソや身体が自然と薬物を欲しがるようになる。薬物の話を人前ですることによって、『何年も前にあった、薬物を使用していた時の“快感”が再び身体に戻ってくる』と言った容疑者が実際にいました」
田代容疑者は出所後、薬物依存症リハビリ施設「ダルク」でスタッフとして働いていた。小川氏は「出所した時は身体から薬物は切れていたはず。その頃は薬物を断ち切ろうと本気だったと思います。その後、田代容疑者はメディアに露出するなどして薬物について語る側になった。そうすると、頭の中で分かってはいても、身体が覚醒剤を求めるようになっていたのだと考えられる。また、田代容疑者の場合は『メディア等で啓蒙、啓発活動をしていると疑われることはない』と考えたのではないか」と分析した。
小川氏は「田代容疑者は今回も実刑となる可能性が高いと思います。ただ、今後についてですが、本人の努力だけでは薬物を完全に断つことはできない。『やっちゃいけない』と言葉や頭では分かっていても、本人の意志だけでは困難です。身体が欲してしまう。本当の薬物依存になっていると言わざるを得ません。強制的に、監視される環境に置かれ、定期的に抜き打ちで採尿検査等をするなど徹底したことが必要になるでしょう」と見解を示した。