覆いかぶさり命を守っていたかのよう…息絶えそうになっていた仲良い兄弟猫、縁あって命をつなぐ
兄弟猫を飼いたいと思っていた佐藤さん。譲渡サイトで見つけた子猫とは縁がなかったが、その子猫たちに会いに行ったことがきっかけで、息絶えそうだったテンちゃんとセンちゃんと出会った。
■兄弟猫が欲しい
神奈川県に住む佐藤さんは、兄弟猫のブログを読んでいて、兄弟猫に憧れていた。2015年9月、譲渡サイトで茶トラと黒猫の兄弟をみつけて会いに行った。兄弟猫の他に5匹の猫がいたが、みんなケージの中にひきこもって出てこなかった。3時間くらいねばったが、猫と触れ合うことはできず、後日連れてきてもらうことになった。
帰りがけ、保護主さんが「家の反対側にトンネルがあって、そこを抜けたところの道路に子猫がいた」という話をした。5匹も飼っているので、これ以上保護できないという。
佐藤さんは、帰り道とは逆方向だったが、子猫がいるか見に行った。高架下になっているトンネルを抜けると、そこには保護主さんが話してくれた通り子猫がいた。一匹の猫にもう一匹が覆いかぶさるようになっていて、駆け寄っても逃げなかった。上になっていた猫が逃げようとして何歩が歩いたが、振り返って「下になっていた猫を置いてきちゃった」とでも言いたげだった。佐藤さんが、下になっていた猫を抱き上げるとガリガリにやせていた。その後雨が降ってきたのだが、佐藤さんが保護しなければ2匹の子猫は死んでいたかもしれない。
■テンちゃんとセンちゃん
佐藤さんは、2匹の子猫を抱いて、もう一度保護主さんのところに行った。下になっていた猫は、ごはんをあげてもお皿の中に顔をうずめるようにうなだれてしまい、食べられなかった。佐藤さんは、下になっていた猫をテンちゃん、上にいた猫をセンちゃんと名付けた。死にそうになっていたテンちゃんにセンちゃんが覆いかぶさって守っている気がした。点と線はつながっているので、テンちゃんとセンちゃんにしたという。
保護主さん宅を後にして動物病院に連れて行くと、生後3カ月くらい。テンちゃんは右脚を骨折していて、肉球の皮がはがれていた。トイレに行くたびに肉球に猫砂が付くので、手をプルプル振るっていた。センちゃんは膀胱炎になっていた。獣医さんは佐藤さんに「どうしますか」と尋ねたが、佐藤さんは、自分で引き取ると決めていた。
■兄弟猫は可愛さ2倍
テンちゃんとセンちゃんは、まったく人見知りしないので、誰かが捨てたのかもしれない。小さい頃から常に2匹くっついていて、とてもよくしゃべる。声も大きくて野太い。ひ弱そうだったテンちゃんは、もりもり食べて筋肉質の猫になり、がっちりとした体型をしている。
センちゃんは外を見るのが好きで、鳥が来るまでじっと外を見つめている。テンちゃんは飽き性なのか、外を見ていてもすぐにどこかに行ってしまったり、おもちゃで遊んでいてもじきにやめてしまったりする。
「1匹が寝ていると、もう1匹がそばに行って毛づくろいをして一緒に寝ていたり、並んで外を眺めていたりすることもあり、やっぱり兄弟だなあと思うんです。可愛さ2倍、2匹でいる姿を見ると癒されます。お留守番させていても安心です」