人懐っこい子猫、猫好き一家にアピールして幸せをつかむ

人を見るとパッと逃げて姿を隠してしまう猫もいるが、野良猫でも人懐っこい猫もいる。ちゃとらくんは、まだ子猫だったせいか、初対面の人にも近寄ってきてスリスリした。

■人懐っこい子猫

2015年10月、香川県に住む松村さんの息子さんは、中学2年生の時、部活動のために訪れた武道館の駐車場で、1匹の子猫を見つけた。その猫は、3日ほど前から近くのプールや児童館のあたりにいたらしく、数人の人が目撃していた。休憩時間に見に行くと、その子猫は息子さんの足元にまとわりついて、スリスリと身を寄せてきた。

夜9時に松村さんが息子さんを迎えに行くと、子猫を抱っこして「この子を飼っていい?連れて帰っていい?」と言う。松村さん夫妻は、実家で猫を飼っていたことがあるので承諾した。

子猫はガリガリにやせていて、顔は汚れて真っ黒だった。なでるだけでノミの糞がばらばらと落ちてきた。ごはんは全部食べたが、知らない場所に来て落ち着かない様子だったという。しかし、ご主人の弟さんが抱っこしても、ニャアニャア鳴くだけで暴れることはなかった。名前は、ちゃとらくんと名付けた。

■麦畑が楽しすぎて

翌日、動物病院に連れて行くと生後2カ月半くらいだった。野良猫だった時に爬虫類を食べていたようで、お腹に虫が寄生していたが、他に病気はなかった。ただ、裏庭で遊ばせていたら、野良猫時代に爬虫類を捕まえていたからなのか、カエルばかり追いかけていた。

ちゃとらくんは外で生活していたので、外に行きたがった。特に、夕方犬の散歩に行く時は、「僕も一緒に行く」と主張した。ある朝、犬の散歩の時にちゃとらくんがついてきたが、麦畑にぴょんと飛び込み、楽しそうに走り回っていて、姿が見えなくなった。松村さんは、仕事があったので、いったん麦畑を後にした。帰宅後、麦畑に探しに行き「ちゃとら、ちゃとら」と呼んだら、声が聞こえて、だんだん近づいてきた。松村さんはそっと抱っこして連れ帰ったが、それ以来、絶対に外に出していないという。いまでは、よほど家が心地いいのか、勝手口の扉を開け放してもちゃとらくんは出て行こうとしない。

■寝る時はひとりが好き

外には行かなくなったが、ちゃとらくんは食べることが大好き。体重は7キロ近くある。取材当日も、午前4時前から「ごはん、ごはん」と要求鳴きしていたそうだ。

「性格は大人しくて、拾った時と同じく甘えん坊です。みんなにスリスリするんです。もっと寄ってきてほしいのですが、寝る時は、自分ひとりであちらこちらでころんと寝るのが好きなんです。主人も子供も、みんな自分のところに来てほしくて」。ちゃとらくんは、時折、ご主人の足の間で眠ることがあるが、ご主人は、「寝返りが打てなくて困るけど、せっかく来てくれたので我慢している」そうだ。

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